2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540463
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
今栄 直也 国立極地研究所, 研究教育系, 助手 (60271037)
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Keywords | ナクライト / 火星隕石 / 実験岩石学 / マグマ / 相平衡 / 冷却実験 / 再現実験 / やまとナクライト |
Research Abstract |
昨年度から継続していた定酸素分圧(fayalite-magnetite-quartz buffer)、一定温度(1275℃付近から1000℃付近)下での相平衡実験から液相温度と固相温度を決定後、定温実験で決定した液相温度と固相温度の範囲で冷却実験を開始した。出発物質はいずれもナクライト親マグマを想定した組成を用いた。冷却実験は、主として冷却開始温度と冷却速度を変えて、7回行った。ナクライトに含まれるかんらん石の累帯構造から、ナクライトを作った溶岩流の冷却速度は、0.1〜1℃/時間程度と見積もった。その結果、一回の実験時間は長くて2ヶ月を要することから、一台の電気炉で行える実験回数は限られた。冷却実験から、やまとナクライトの普通輝石の結晶成長に類似した累帯構造が確認されるなどナクライトに見られる特徴の一部を再現することに成功した。こうした定温・冷却実験の一連の結果は、国内外の学会やシンポジウムで口頭発表を行った。 また、やまとナクライトの観察分析を続け、ナクライトを作った親マグマを3つの異なる手法で求め、整合的な結果を得た。ナクライトを作った結晶化過程の考察をさらに進め、これまでより確からしいモデルを提出し、やまとナクライトの一連の岩石学的研究を国際誌に投稿した。この研究の中で、親マグマ組成のNa_2O, K_2O, TiO_2の副成分組成の見直しを行い、現在新たな出発物質を作成して再度定温・冷却実験を行う準備をしている。実験装置はジルコニア酸素センサを導入するなどの改良を行った。 さらに、新たに見つかった南極産ナクライト(MIL 03346)の観察・分析を通じてナクライトの形成史をより一般化して捉える研究も始めている。
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Research Products
(1 results)