2004 Fiscal Year Annual Research Report
振動励起・輻射輸送を考慮した水素衝突輻射モデルによる分子活性再結合発光線の解析
Project/Area Number |
15540470
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
澤田 圭司 信州大学, 工学部, 助教授 (40262688)
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Keywords | 水素分子 / ダイバータプラズマ / 分子活性再結合 / 非接触プラズマ / 衝突輻射モデル / 振動状態 / 高周波プラズマ / 輻射輸送 |
Research Abstract |
非接触プラズマでは分子活性再結合過程H_2(v)+H^+ -> H_2+(v)+H,H_2^+(v)+e -> H+H^*が重要とされそおり、我々はこの反応速度係数が水素分子の振動状態により1桁程度変化することを見いだしている。前年度、水素分子振動状態(v=0-14)を区別した3次元モンテカルロシミュレーションコードを構築し、LHDプラズマに適用した。平成16年度は、水素原子ライマン線輻射輸送の解析に必要となるスペクトルプロファイルを精密に計算するため、そのうちのドップラー広がり分について詳しく調べた。 水素分子から水素原子が生成される経路は数多くある。我々はそのうち重要と考えられる15の経路について、生成される原子の速度分布を始状態の分子振動状態を区別して計算し、モンテカルロシミュレーションコードに組み込んだ。LHDプラズマについて計算を行い、LHD分光計測ポートLHD#1-0で得られている水素原子バルマーアルファプロファイルと比較した。この比較は実験で得られたスペクトルからゼーマン広がり分を差し引いたもので行った。 実験において、容器中心を通る水平視線上では規格化小半径ρ=1と交わる2箇所(内側R=3.8m,外側R=4.5m付近)で強く発光しており、内側と外側の発光線強度比は2:1程度であることが確認されている。またそのスペクトルプロファイルの解析から、内側と外側の水素原子平均速度は容器中心方向にそれぞれ5.5x10^3(m/s),0.2x10^3(m/s)であるとされている。計算においては、ρ>1での電子温度・密度の分布がわからないため、その領域でそれらの値を一定と仮定し、実験結果のスペクトルを再現する値を調べたところ、電子温度0.1eV,電子密度(=イオン密度)10^<12>cm^<-3>で実験結果がよく再環された。計算結果では、スペクトルプロファイルはρ>1の領域での水素原子とイオンの弾性散乱過程に強く影響されている。しかしながら、この計算では、ρ>1領域での水素原子と水素分子の弾性散乱過程を考慮していないため、実際は、水素原子の弾性散乱過程において10^<12>cm^<-3>程度存在する水素分子が主要な役割を果たしていると考えられる。 今後引き続き、水素原子と水素分子の弾性散乱過程をモデルに組み込み、さらに輻射輸送の効果を組み込む作業を行っていく予定である。
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