2004 Fiscal Year Annual Research Report
LHD型磁場配位を用いた水素・硼素核融合炉の理論研究
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15540480
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北條 仁士 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (30116660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 二太 核融合科学研究所, 名誉教授 (70023728)
等々力 二郎 核融合科学研究所, 名誉教授 (30059670)
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Keywords | 水素・硼素核融合 / 高ベータプラズマ / LHD磁場配位 / ICRF加熱 / 平衡解析 / 安定性解析 / 着火条件 / カオス磁力線 |
Research Abstract |
研究成果は,以下の通りにまとめられる。 I.ICRF加熱と核融合炉の適合性の検証 ICRF加熱を核融合炉に利用するには遠隔アンテナ配位が望ましい。幅広のアンテナストラップであればアンテナ前面に励起される表面波が利用できること,LHD磁場配位ならば最外殻磁気面近傍で共鳴加速されたプロトンが炉心部を加熱できること(非軸対称磁場に起因するカオス軌道特性の活用)を計算機解析で示し,遠隔アンテナ配位の可能性を示した。この解析結果はLHDのICRF長時間放電(第8サイクルキャンペーン)においてアンテナを真空容器壁位置近くにまで後退させていることでも裏付けられた。 II.LHD磁場配位における高ベータプラズマ保持の理論解析 (1)平衡解析:水素・硼素核融合炉の核燃焼維持には高ベータプラズマ保持が前提となる。磁場はdivB=0の関係を満たすので,一般性を失うことなく任意の磁場が2成分のベクトルポテンシァルで表現できること,またこれにプラズマの圧力を付け加えた3成分を未知関数とすれば平衡を記述する方程式を解くことができることを示した。これを用いて磁気面領域とそれを取り囲むカオス磁力線領域で構成されるLHDの平衡配位の解析手法を構築した。LHDの真空磁気面をこの手法で具体的に数値解析し磁力線追跡結果と比較してその妥当性を確認した。また,回転ヘリカル座標を用い装置幾何学的形状で指定される微小量で展開することで磁気面を決定する方程式を導いた。 (2)安定性解析:LHD型磁場は最外殻磁気面の外側領域には磁力線結合長が極めて長いカオス磁力線領域が取り巻いている。カオス磁力線領域を離脱した磁力線は短距離で真空容器壁に固定される。このカオス磁力線領域がLHDプラズマの安定保持に寄与していることを指摘し,LHD磁場は高ベータプラズマの安定保持が可能と予測した。 (3)水素・硼素核融合炉の着火条件の解析:水素・硼素核融合炉の燃料の一つである硼素は荷電数が5と高く,制動放射損失が高いため,着火条件を満たすことは不可能と予測されていた。これに反して,ICRF加熱を利用するとプロトン分布は準線形プラトー分布を形成することが期待され,この場合の核燃焼率を用いると水素・硼素核融合炉でも着火条件を満たし得るパラメータ領域が存在することを確認した。
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Research Products
(6 results)