2003 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー光分解法を用いた溶液中の吸熱的三重項エネルギー移動過程の反応機構の研究
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15550004
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山路 稔 群馬大学, 工学部, 助教授 (20220361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛田 成史 群馬大学, 工学部, 教授 (30164007)
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Keywords | 三重項エネルギー移動 / レーザー閃光分解 / ベンゾフェノン / 解離反応 / 活性化エネルギー / ナフチルフエニルケトン / 吸熱的エネルギー移動 / 炭素-イオウ結合解離 |
Research Abstract |
295K、アセトニトリル中、三重項ベンゾフェノン(BP)からα-ナフチルメチルフェニルスルフィド(NMPS)へ三重項エネルギー差が9.9kcal mol^<-1>の発熱系で三重項エネルギー移動が拡散律速速度に近い速度(8.9x10^9M^<-1>s^<-1>)で起き、NMPSの三重項状態で炭素-イオウ結合が解離することをレーザー光分解法により見出した。つまり、NMPSの三重項状態は解離反応性励起状態であることが明らかになった。このことは、NMPSが三重項エネルギー移動のセンサーとしての応用できることを意味する。生成するラジカルの分子吸収係数を用いて、ラジカルの生成効率を0.82と決定した。三重項α-ナフチルフェニルケトン(NPK)からNMPSへの三重項エネルギー差は17kcal mol^<-1>の吸熱系であり、このようは系では三重項エネルギー移動の速度が遅く、逆エネルギー移動である発熱的な逆エネルギー反応の速度が大きいため、見かけ上エネルギー移動が起きていないように観測される。しかしNMPSを三重項エネルギー受容体として用いた場合、炭素-イオウ結合が解離することが観測された事から、吸熱的な三重項エネルギー移動が4.2x10^8M^<-1>s^<-1>で起きることを見出した。これは、吸熱的な三重項エネルギー移動の速度を初めて決定した報告である。この系のラジカルの生成効率は0.78であった。三重項エネルギー移動速度のアレニウスプロットより、BP-NMPS,NPK-NMPSの系で、見かけの活性化エネルギーをそれぞれ1.6および2.6kcal mol^<-1>と決定した。1.7kcal mol^<-1>の吸熱系ではこの活性化エネルギー(2.6kcal mol^<-1>)によって、吸熱的な三重項エネルギー移動が進行することを初めて明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Minoru Yamaji: "Laster photolysis studies of endothermic triplet energy transfer in solution by observing the carbon-sulfur bond cleavage of triplet-sensitized naphthylmethylphenyl sulfide."Chem.Phys.Lett.. 368. 41-48 (2003)
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[Publications] Minoru Yamaji: "A new-type photoreaction of a carbonyl compound Part 1. Photoinduced ω-bond dissociation in p-mercaptomethylbenzophenone studied by time -resolved EPR technique, steady -state and lase r flash photolyses in solution"J.Photochem.Photobiol.A : Chem.. 162. 513-520 (2004)