2004 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー光分解法を用いた溶液中の吸熱的三重項エネルギー移動過程の反応機構の研究
Project/Area Number |
15550004
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山路 稔 群馬大学, 工学部, 助教授 (20220361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛田 成史 群馬大学, 工学部, 教授 (30164007)
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Keywords | 三重項エネルギー移動 / レーザー閃光分解法 / 結合解離 / 吸熱的エネルギー移動 / 反応経路 / 速度定数 |
Research Abstract |
吸熱的な三重項エネルギー移動の速度定数を決定する一つの解決策として、生成したエネルギー準位の高い三重項分子を直ちに化学反応で失活させ、発熱的なエネルギー移動過程を抑制することを目的として、結合解離過程に注目した。三重項エネルギーのアクセプターにはナフチルメチルフェニルスルフィド(NMPS)を採用し、ベンゾフェノン光増感により、ナフチルメチルラジカル(NMR)とフェニルチイルラジカル(PTR)の生成を過渡吸収で確認することによりNMPSの三重項が解離性であることを確認した。次にNMPSの三重項エネルギーより小さな三重項エネルギーを持つエネルギー供与体としてナフチルフェニルケトン(NPK)を用いて、NPKの三重項の消光の速度とラジカル生成の量子収率を決定することにより、吸熱的な三重項エネルギー移動の速度定数を決定することに初めて成功した。さらにドナーにジナフチルケトン、アクセプターにフェニルベンジルフェニルスルフィドを用いて、最大2.5k cal mol^<-1>の吸熱系でも10^7M^<-1>s^<-1>の速度定数でエネルギー移動が進行し、5.0kcal mol^<-1>の活性化エネルギーが存在することを明らかにした。そして様々なエネルギー差をもつドナーアクセプター系を組み合わせることにより、エネルギー移動の速度定数と吸熱的な領域における三重項エネルギー差の関係を明らかにした。 バイプレノファン(2)は励起一重項を経由してシクロファン(1)の励起状態へ断熱的に変化することは知られていたが、三重項光増感された化合物2の三重項も化合物1の三重項状態に断熱的に変化し、最終的に化合物1を与える反応経路を見いだした。光増感剤から化合物2への三重項エネルギー移動の速度定数より発熱的および吸熱的なエネルギー差を考慮することで、未知であった化合物2の三重項エネルギー準位を初めて決定した。
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Research Products
(5 results)