2004 Fiscal Year Annual Research Report
星間空間および惑星大気中におけるラジカル反応の速度論的研究
Project/Area Number |
15550008
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
關 金一 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (30250103)
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Keywords | ラジカル反応 / 光反応 / C_2Hラジカル / 星間空間 / 惑星大気 / LIF / アセチレン |
Research Abstract |
星間空間および惑星大気中におけるラジカルを主とする反応速度LIF法を用いて行った。前年度に引き続きC_2Hラジカルの反応とその検出について検討を進めている。C_2Hラジカルはエキシマーレーザー(193nm)による光分解でパルス的に生成させる。ラジカルが生成後、充分に基底状態に緩和した後、他の分子と反応して減衰する速度をOPO波長可変レーザーを用いたLIF法により測定した。測定されたLIFスペクトルはC_2Hとほぼ特定でき、シグナルの強度変化の解析からアセチレンとC_2Hの反応速度が1×10^<-11>cm^3molecule^<-1>s^<-1>であることを決定した。この値は既報告値とオーダーで一致している。一方、極低温領域での研究はアセチレンの193nmのおける光化学過程の研究を10Kにおいてアルゴンマトリックス法を用いて行った。その結果、アセチレンの濃度により、生成物が変わることが判明した。アルゴンとアセチレンのモル比が1/100以上ではジアセチレンの生成が直接観測され、C_2Hの存在はなく、1/1000以下ではC_2Hが観測され、ジアセチレンの生成は見られなかった。このことから10KでもC_2Hがある程度マトリックス内で移動しており、親分子であるアセチレンとの距離がジアセチレンの生成過程を決定していることが明らかになった。C_2Hラジカルと星間空間や惑星大気中に見られるジアセチレン(C_4H_2)、シアノアセチレン(HC_3N)、ジシアノアセチレン(C_4N_2)を反応させ反応速度を測定する計画を進行させている。本年度の成果としてはC_2Hと炭化水素の反応速度が決定されたこと、低温固相中でアセチレンから直接、ジシアノアセチレンが生成している系の反応機構の解明が挙げられる。以上により惑星大気中における低温エアロゾル表面での光化学過程の反応機構の解明に寄与することができた。
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