2005 Fiscal Year Annual Research Report
星間空間および惑星大気中におけるラジカル反応の速度論的研究
Project/Area Number |
15550008
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
關 金一 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (30250103)
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Keywords | ラジカル反応 / 光化学 / C2Hラジカル / 星間空間 / 惑星大気 / LIF / アセチレン / 反応速度 |
Research Abstract |
星間空間および惑星大気中におけるラジカルの反応速度の測定についてLIF法を用いて行った。主としてC_2Hラジカルの反応とその検出について検討を進めている。C_2Hラジカルはエキシマーレーザー(193nm)による光分解でパルス的に生成させる。ラジカルが生成後、充分に基底状態に緩和した後、他の分子と反応して減衰する速度をOPO波長可変レーザーを用いたLIF法により測定した。測定されたLIFスペクトルはC_2Hラジカルの第2励起状態であるB状態のもので、そのスペクトル形状からΣ-Σ遷移、II-II遷移、Δ-Δ遷移、Φ-Φ遷移に帰属できる。スペクトルの詳細な解析から、C_2Hの電子状態の知見およびアセチレンとの反応速度を決定した。一方、極低温領域での研究は不飽和炭化水素の193nm励起における光化学過程の研究を10Kにおいてアルゴンマトリックス法を用いて行った。前年度はアセチレン単体の光化学過程についてC_2Hラジカルの挙動を研究したが、本年度はさらにそれを進めて定量的な見積もりおよび連鎖反応過程に関する研究を行った。C_2Hラジカルが低温マトリックス中で光励起により生成した後、基底状態にあるアセチレンと反応してジアセチレン分子を形成するが、この反応量子収率が1を越えており、固相中で連鎖反応もしくはミクロ領域での爆発とも呼べる反応過程が起きていることを発見した。この過程はハロゲン分子の反応で報告されているが、有機化合物単体で見られたのは初めてである。この発見はC_2Hラジカルと星間空間や惑星大気中に見られる不飽和炭化水素の反応機構に大きな意味を持つもので、宇宙空間で見られる特殊な線形ポリイン類の生成メカニズム解明の新たな展開が開けた。
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