2004 Fiscal Year Annual Research Report
疎水性効果の実験モデルの構築を目的とした水中のブタンの配座異性平衡に関する研究
Project/Area Number |
15550020
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
加藤 稔 立命館大学, 理工学部, 教授 (00241258)
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Keywords | 配座異性平衡 / ラマン / FT-IR / 水溶液 / 疎水性効果 / ブタン / 鎖状分子 / 熱力学量 |
Research Abstract |
本研究では、生体分子の立体構造形成原理を鎖状分子の配座異性平衡をモデル系として、溶媒効果、特に、疎水性効果に着目して、その物理化学的解明を目的とした。疎水性効果のモデルとして、ブタンのトランス・ゴーシュ平衡をターゲットとして設定した。純液体の配座異性平衡に及ぼす圧力効果をFT-IR法により調べた.圧力増加に伴い,ブタンはゴーシュ体が増加することを観測し、トランスからゴーシュ中への配座変化に伴う体積変化は,約-1cm^3/molとなることを赤外強度の圧力依存性から決定した.水溶液中での実験は溶解度の点から、定量的な結果を得るところまでには到らなかったが、水溶液中でのその配座平衡の温度依存性は有機溶媒中とは逆に温度上昇に伴いゴーシュ体が増加するのを、ラマン分光法により観測した。また、高圧ラマン実験より、高圧下でゴーシュ体が増加することを確認した。アンブレラ・サンプリング法を用いた分子動力学シミュレーションでは、約-1.5cm^3/molの値を得え、圧力実験の結果を支持した。また、ブタン以外のモデル分子として、溶解度の比較的高いハロアセトン、ペプチドの最小unitを有す単純分子である2-chloroacetoamide, glycinamide, alanine dipeptide, glycine dipeptide、最小のペプチドの一つであるLeu-Enkephalin、さらにはデノボ・デザインされた16残基からなるAla-richペプチド(AK16)を対象に配座異性平衡のエンタルピー、体積変化をラマン、FT-IRを用いて決定した。
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Research Products
(6 results)