2003 Fiscal Year Annual Research Report
ゼオライト超分子のフォトクロミズムとサーモクロミズム
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15550029
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小嶋 政信 信州大学, 農学部, 教授 (20153538)
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Keywords | ゼオライト / フォトクロミズム / アゾベンゼン / 金属イオン / シスートランス光異性化 / 静電的相互作用 / 分子軌道計算 / 会合体形成 |
Research Abstract |
(1)trans-4-ヒドロキシアゾベンゼン(t-HOAB)は、メチルシクロヘキサン中では水素結合型二量体を形成するが、ベンゼン中では溶媒分子との相互作用により二量体形成が抑制されると考えられている。芳香族及び脂肪族溶媒で、t-HOABに366nm光を照射して生成したcis-4-ヒドロキシアゾベンゼン(c-HOAB)の半減期を測定したところ、溶媒に著しく依存することが明らかになった。溶媒分子とt-HOABとの相互作用をab initio分子軌道計算により解析し、測定したc-HOABの半減期との相関性を検討したところ、HOABと溶媒分子との会合体形成がシス体の安定性に関与していることが示唆された。 (2)4-ヒドロキシアゾベンゼンの吸収スペクトルに及ぼす溶媒効果や温度変化から、既に水素結合型二量体の存在が提唱されているが、その構造は多種多様である。形成される二量体の構造は、trans-cis光異性化反応にも重要な影響を与えると考えられる為、ab initio分子軌道計算により各種二量体の構造を最適化して結合エネルギーを計算し、二量体の安定性に及ぼす立体的因子を解析した。2つの水素結合を有する環状構造型trans-trans二量体よりも、1つの水素結合を形成するtrans-cis二量体やcis-cis二量体の方が、より大きな結合エネルギーを有することがわかった。環状構造型trans-trans二量体の場合には、2つのベンゼン環における立体的反発により相互作用が弱められると考えられる。また溶媒分子との相互作用によって、これらの水素結合型二量体形成が阻害される場合には、吸収スペクトルやcis体の安定性にも影響が現れると予想される。互変異生体も考慮して、水素結合型二量体の安定性を評価した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Masanobu Kojima, Miyuki Nakajoh, Satomi Nebashi, Noriyuki Kurita: "Effect of metal cation on photoisomerization of azobenzenes in zeolite Nanocavities"Res.Chem.Inntermed.. 30. 181-190 (2004)
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[Publications] Masanobu Kojima, Miyuki Nakajoh, Satomi Nebashi, Noriyuki Kurita: "Effect of metal cation on photoisomerization of azobenzenes in zeolite Nanocavities"Book of Abstracts for the 21^<th> International Conference on photochemistry. 164 (2003)
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[Publications] 小嶋政信, 根橋怜美, ザキールホッセン, 小川桂一郎, 玉井尚登, 栗田典之: "cis-4-ヒドロキシアゾベンゼンの安定性に及ぼす溶媒効果"光化学討論会2003講演要旨集. 345 (2003)
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[Publications] 小嶋政信, 根橋怜美, 栗田典之: "ab initio分子軌道計算により評価した4-ヒドロキシアゾベンゼン水素結合型二量体の安定性"光化学討論会2003講演要旨集. 415 (2003)
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[Publications] Masanobu Kojima: "Encyclopedia of Nanoscience and Nanotechnology, Vol.10"American Scientific Publishers (in press). 19 (2004)