2004 Fiscal Year Annual Research Report
ゼオライト超分子のフォトクロミズムとサーモクロミズム
Project/Area Number |
15550029
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小嶋 政信 信州大学, 農学部, 教授 (20153538)
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Keywords | アゾベンゼン / ゼオライト / 細孔内金属イオン / シス-トランス光異性化 / フォトクロミズム / サーモクロミズム / 酸化チタン / 水素結合 |
Research Abstract |
(1)ベンゼン(PhH)、シクロヘキサン(C_6H_<12>)、及びPhH-C_6H_<12>混合溶媒中でtrans-4-ヒドロキシアゾベンゼン(t-HOAB)に366nm光を照射し、生成したcis-4-ヒドロキシアゾベンゼン(c-HOAB)の半減期(τ_<1/2>)を測定したところ、τ_<1/2>は溶媒の組成に依存することが明らかになった(τ_<1/2>=125min/PhH,4min/C_6H_<12>)。メタノールとアセトニトリル中では、室温でc-HOABへの光異性化を起こらなかった。PhH中に塩化水素及びトリエチルアミンを添加すると、c-HOABの安定性は著しく低下した。溶媒分子とc-HOABとの相互作用をab initio分子軌道計算により解析したところ、c-HOABと溶媒分子の酸・塩基性強度により会合体形成が支配され、c-HOABの安定性を決定することがわかった。 (2)HOABは水素結合型二量体を形成すると考えられているが、その構造は多種多様である。形成される二量体の構造は、trans-cis光異性化反応にも重要な影響を与えると考えられる為、ab initio分子軌道計算により各種二量体の安定構造を求めるとともに、結合エネルギー(BE)と生成熱(TE)を計算した。各種二量体のTEを比較したところ、2つの水素結合を有する環状構造型trans-trans二量体よりも、1つの水素結合を有するT字型trans-trans二量体が、他のいずれの二量体よりも安定であることがわかった。互変異生体も考慮して水素結合型二量体の安定性を評価し、吸収スペクトルの温度変化について解析した。 (3)光触媒として広範に応用されている酸化チタン(TiO_2)の吸着効果を明らかにするため、TiO_2存在下におけるアルキル基、エステル基、カルボキシル基を有するアゾベンゼンの光異性化挙動を検討した。その結果水酸基を有する4-アゾベンゼンカルボン酸は、TiO_2表面に強く吸着される為、シス体への光異性化が著しく抑制されることがわかった。
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Research Products
(4 results)