2004 Fiscal Year Annual Research Report
アシルシラン類からのケイ素不飽和化学種の生成と反応挙動の解明
Project/Area Number |
15550038
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大下 浄治 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90201376)
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Keywords | アシルポリシラン / シレン / 熱異性化反応 / 反応速度 |
Research Abstract |
1.前年度に引き続き、各種のアシルポリシランからの熱異性化によるシレン生成の速度論的パラメータを求めた。その結果、ΔH^<【thermodynamics】>=25.7-29.3kcal mol^<-1>およびΔS^<【thermodynamics】>=-11.5--17.5cal mol^<-1> K^<-1>という値が得られた。また、分子軌道計算から4中心の協奏的遷移状態を求めることに成功した。さらに、同様の計算により、カルボニル炭素上に電子供与性基が置換すると反応が加速されるという実験的事実を裏付けることができた。その他に、シレン生成の速度論的検討の過程で、シレンの反応挙動と置換基依存性に関して興味深い知見を得た。すなわち、アシルポリシランから生成したシレンは、2,3-ジメチルブタジエンと[2+4]環化付加して、シラシクロブテン誘導体を常に主生成物として与えるが、カルボニルがアルキル置換されているアシルポリシランから生成したシレンは、ene-タイプの反応が併発する。一方、アリール基をカルボニル上に有する場合には、ene-タイプの反応を全く起こさず[2+2]環化付加生成物を副生成することを見い出した。 2.2,2-ビス(アシル)トリシランの熱および光反応を検討した。熱反応では、非常に複雑で解析不能の混合物のみが得られたが、メタノールを捕捉剤とする光反応では、アシルシレンが生成することを見出した。生成したアシルシレンは、メタノールと反応する他、分子内[2+2]環化をおこす。 3.1,2-ビス(アシル)ジシランのジフェニルアセチレン存在下での熱反応から、転位によって生成したシレンがさらに異性化してシリレンを経由したと考えられる生成物を確認した。そのうち、生成したシラシクロプロペン誘導体について、結晶構造の解析に成功した。 4.シアノポリシランの熱反応によるシリレンの生成、ハロアルキルヒドロシランとアルキルリチウムの反応によるシレン生成を検討した。
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