2003 Fiscal Year Annual Research Report
キラルブレンステッド酸触媒を用いた不斉合成反応の開発
Project/Area Number |
15550042
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
秋山 隆彦 学習院大学, 理学部, 教授 (60202553)
|
Keywords | 不斉合成 / マンニッヒ型反応 / キラル触媒 / リン酸 / β-アミノカルボニル化合物 / イミン / エナンチオ選択的不斉合成 / ブレンステッド酸 |
Research Abstract |
イミンに対するシリルエノラートの求核付加反応であるマンニッヒ型反応は,生理活性化合物であるβ-アミノ酸やβ-ラムタムなどの合成中間体であるβ-アミノカルボニル化合物の重要な合成反応である。一般にルイス酸触媒により進行する。近年キラルルイス酸触媒も開発されている。本研究では,キラルブレンステッド酸を用いてエナンチオ選択的な不斉合成反応を開発することを目的として,研究を行った。新規なブレンステッド酸触媒を種々合成した結果,ビナフトールより誘導したリン酸ジエステルをブレンステッド酸触媒として用いることによりイミンに対するケテンシリルアセタールの付加反応であるマンニッヒ型が効率良く進行することを見いだした。ビナフチル基の3,3'-位に置換基を導入することにより不斉収率が大きく変化し,3,3'-位に4-ニトロフェニル基の置換したリン酸エステルを用いることにより,最高96%eeの不斉収率でβ-アミノ酸エステルが得られた。本反応は,様々な,ケテンシリルアセタール,イミンとの反応の適用することが可能であり,70-96%eeの不斉収率が発現し,また,シン体とアンチ体の選択性においても,86:14-100:0の選択性でシン体が優先的に得られた。本反応においては,チッ素原子上に2-ヒドロキシフェニル基の置換したイミンを用いることが必須であることより,この水酸基が不斉発現に重要な働きを示していると考えられる。この不斉発現の理由については更に検討する予定である。 近年,金属触媒を用いない,キラル有機触媒によるエナンチオ選択的な不斉合成反応が注目を集めているが,本キラルブレンステッド酸触媒はキラル有機触媒と言う観点からも独創的な優れた触媒であると考えられる。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] T.Akiyama, J.Itoh, K.Yokota, K.Fuchibe: "Enantioselective Mannich-type Reaction Catalyzed by a Chiral Bronsted Acid"Angew.Chem.Int.Ed.. 42・12. 1566-1569 (2004)