2003 Fiscal Year Annual Research Report
有機分子機能化金属ナノクラスターの動的集合体と界面反応制御
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15550044
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
藤原 尚 近畿大学, 理工学部, 教授 (30190101)
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Keywords | 金属ナノクラスター / 光学活性 / ナノ界面 |
Research Abstract |
キラルなビスホスフィンである2,2'-Bis(diphenylphosphino)-1,1'-binaphthyl (BINAP)に注目し、BINAPを保護基とする安定なキラルパラジウムナノ粒子の合成と性質および木斉触媒反応について検討した。BINAPを保護基とするパラジウムナノ粒子BINAP-Pdは、BINAP存在下、K_2PdCl_4を還元することにより合成した。ビスホスフィンで保護したBINAP-PdはTEM観察の結果、興味あることに、モノホスフィンを保護基とした場合と異なり、粒子径が2.0±0.5nmと小さく分散性に優れていた。また、キラルな(R)-BINAP-Pdおよび(S)-BINAP-Pdについて、円偏光二色性スペクトルを測定したところ、(R)-BINAP-Pdナノ粒子の円二色性スペクトルにおいては正のコットン効果を示し、(S)-BINAP-Pdナノ粒子の円二色性スペクトルにおいては負のコットン効果を示した。キラルBINAP-Pdナノ粒子の不斉触媒能について検討する目的で、スチレンとトリクロロシランとのヒドロシリル化反応を試みた。本反応は、BINAPのようなビスホスフィンの有機金属錯体では、進行しないことが知られている。一方、驚くべきことに、BINAP-Pdを用いるヒドロシリル化反応は、(R)-BINAP-Pd存在下、0℃で速やかに起こり、光学活性アルコール(R体、95%ee)を生成する。また、(S)-BINAP-Pdを用いた反応からは、S体のアルコールが得られた。キラルパラジウムナノ粒子が関与する不斉触媒反応は初めての例であり、Pdナノ粒子とPd錯体の大きな差異を見出したことは興味深い。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Tamura, H.Fujihara: "Chiral Bisphosphine BINAP-Stabilized Gold and Palladium Nanoparticles with Small Size, and Their Palladium Nanoparticle-Catalyzed Asymmetric Reaction"J.Am.Chem.Soc.. 125. 15742-15743 (2003)
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[Publications] T.Goto, H.Fujihara: "Self-assembly of spherical aggregates of gold nanoparticles mediated by metal ion recognition"J.Mater.Sci.Lett.. (in press). (2004)