2003 Fiscal Year Annual Research Report
メタラリンヘテロ環を配位子とする金属錯体の合成と金属同士の協同的基質活性化反応
Project/Area Number |
15550051
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水田 勉 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70221603)
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Keywords | リンヘテロ環 / 歪み化合物 / ナフタレン / 挿入反応 / パラジウム |
Research Abstract |
本研究では、新たな化合物群として、メタラリンヘテロ環を配位子としてもつ金属錯体を取り上げる。メタラリンヘテロ環とは、リンヘテロ環の一つの炭素が、遷移金属に置き換えられたものを指す。メタラリンヘテロ環のリン原子は種々の金属元素と安定な配位結合を形成できるのでこれを配位子とした錯体の合成法は、種々の組み合わせの複核錯体の合成へ応用可能なルートとして期待できる。本研究では、歪んだヘテロ小員環の解裂しやすいヘテロ原子-炭素結合へ、低原子価のメタルを酸化付加的に挿入させる方法に取り組んだ。 §小員環のリンヘテロ環の構築 1,8-ジリチオナフタレンとCl_2PNR_2(R=Et,^iPr,^nBu)とを反応させ、ナフタレンの1,8位がPNR_2で架橋された化合物を合成した。この生成物は、4員環のリンヘテロ環を持っており、リン周りの結合角が70°近くまで小さくなっている。このためリン上のσ*軌道のエネルギーレベルが低くπ酸性の強いリン配位子であり、金属の求核攻撃を受けやすくなっている。 §金属挿入による5員環メタラリンヘテロ環の構築 得られた、配位子のローンペアに金属フラグメント、S、BH_3、CH_3^+を結合させたものを合成し、それぞれに対して0価のパラジウムフラグメントを反応させた。単離した反応生成物の構造をX線解析で調べた結果、期待どおりP-C結合にパラジウムが挿入しており、ナフタレンの1,8位がPd-P結合で架橋されたメタラリンヘテロ環が構築されていることがわかった。
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Research Products
(1 results)