2004 Fiscal Year Annual Research Report
メタラリンヘテロ環を配位子とする金属錯体の合成と金属同士の協同的基質活性化反応
Project/Area Number |
15550051
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
水田 勉 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70221603)
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Keywords | パラダサイクル / ナフタレン / Heck反応触媒 / W-Pdヘテロ2核錯体 / スピロ架橋 / ホスフィド架橋 |
Research Abstract |
ナフタレンの1,8位をP(N^iPr_2)で架橋した3価のリン化合物に対してS_8を反応させ5価のホスフィンスルフィドとした。これにPd(PPh_3)_4を反応させるとパラジウムがリン-ナフタレン結合に挿入しパラダサイクル構造をもつ錯体が得られた。この錯体は、5価のリンをもち、かつP-C-C-Cキレート骨格を持つので熱的に安定であると考えられ、Heck反応の触媒前駆体として期待できる。そこで、基質にstyreneとPhIを用いた単純なHeck反応を試みたところ、^1HNMRにより反応が進行することが確認できTONが約70000程度の比較的高い触媒活性を示した。 一方、リン架橋[1]フェロセノファンのリン上にピリジンアーム(-2-CH_2C_5H_4N)導入したP-Nキレート配位子を合成し、これをW(CO)_4に配位させた錯体を合成した。このキレートの[1]フェロセノファン部には大きな立体歪みが存在するため、[1]フェロセノファンのP-Cp結合は開裂し易い。そこで、このタングステン錯体にPd(PMe_3)_2フラグメントを反応させるとP-Cp結合への挿入がおこり、スピロ型のホスフィド架橋構造をもつW-Pdヘテロ2核錯体が得られた。この2核錯体はW中心とPd中心の両方ともキレートにより架橋と結合しているので、架橋骨格が熱的に安定であった。さらに、2つのメタル中心が互いに近傍に位置するのでメタル上の配位子同士の立体反発が大きく、Pd上からPMe_3配位子が容易に脱離し、反応活性な空き配位座を生じることが判った。
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Research Products
(3 results)