2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15550055
|
Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
槌本 昌信 千葉工業大学, 工学部, 助教授 (10255599)
|
Keywords | ランタノイド / ヘテロ多核金属錯体 / バナジウム / 合成 / 発光 |
Research Abstract |
5座のシッフ塩基を配位子とするV(V)-Ln(III)-Ln(III)-V(V)4核錯体(Ln=Eu,Gd,Tb)、[{V^vO_2(L)Ln^<III>(acac)}_2(H_2O)] (H_3L:N,N'-di-3,5-di-t-butylsalicylidene-2-hydroxy-1,3-propanediamine ; Hacac:2,4-pentanedione)を合成し、X線構造解析を用いて結晶構造を決定した。これらの錯体では、中心のLn(III)2核錯体の両側からジオキソバナジウム(V)錯体が結合して4核構造を形成している。V(V)-Ce(IV)3核錯体[{V^vO_2(L)}_2Ce~<IV>]の場合と同様に、ジオキソバナジウム(V)錯体部分のbasalオキソ配位子はランタノイドイオンに配位しているが、V(V)-Ln(III)4核錯体のバナジウムーbasalオキソ原子間の結合距離(1.664(4)-1.675(4)Å)はV(V)-Ce(IV)3核錯体のバナジウムーbasalオキソ原子間の結合距離(1.711(3)Å)よりも短く、V(V)-Ln(III)4核錯体ではbasalオキソ配位子はランタノイドイオンに弱く配位していることが明らかになった。このような4核錯体と3核錯体の構造の違いは、中心のランタノイドイオンの酸化数(電荷)と関連があるものと推定される。 さらに、V(V)-Tb(III)4核錯体については、紫外線を照射すると蛍光が観測された。この蛍光の強度には溶媒依存性があり、ジクロロメタン、アセトニトリル中と比較して、メタノール、DMSO中では強い発光が観測された。V(V)-Tb(III)4核錯体の結晶中で弱く配位しているエトキシ基や水分子の酸素原子は、メタノールやDMSO中において溶媒と置換され、溶媒の配位とともに錯体に構造変化が起きていると推定される。蛍光の強度の溶媒依存性はこのような溶液中の構造変化と関係するのかもしれない。この溶媒の効果については、今後検討する予定である。
|