2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15550059
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 教之 独立行政法人理化学研究所, 化学分析チーム, 先任研究員 (90241231)
|
Keywords | ジルコニウム / チタニウム / ハフニウム / シクロペンチン / 5員環 / ブタトリエン |
Research Abstract |
我々は近年、遷移金属であるジルコニウムを環中に含む5員環アルキン錯体の合成と単離、分子構造の決定に成功した。このユニークな構造を有する「ジルコナシクロペンチン化合物」は、低原子価のジルコノセンと1,2,3-ブタトリエンとの反応によって生成する。昨年度の検討で同族元素のチタンを含む類縁化合物の合成と分子構造を報告したが、ハフニウムの分子構造は知られていなかった。本年度の研究の成果として、ハフニウムを含む5員環アルキン錯体の合成とその分子構造の決定に成功した。当初、得られたハフニウム錯体の結晶は非常に細い針状であったため、通常の単結晶構造回折装置では解析データが不十分だった。そこで理化学研究所播磨のSpring-8の高エネルギー放射光を用いた回折データを収集することにより、解析が可能となった。これで4族元素の全てにおいて含金属5員環化合物が生成することが明らかとなった。ジルコニウムの類縁化合物とほぼ同じ構造を有しており、解析精度が高いためより詳細な構造データが得られた。 これらの化合物群の結合様式についてはDFT計算に基づいた報告がいくつか提案されているが、議論の余地が残されている。そこで我々は、X線回折を用いて実験的に分子の電子密度を測定することにより、メタラシクロペンチンの構造に関する情報を得た。その結果、この分子においては5員環アルキン構造に加えて、η^4-π,π-配位ブタトリエン構造の寄与が認められた。この実験結果は、上で我々が明らかにした4族元素のメタラシクロペンチン錯体群の比較においても支持された。すなわち、チタン錯体においては、その結合角、化学シフトの値などから、ジルコニウム、ハフニウム錯体に比べてη^4-π,π-配位ブタトリエン構造の寄与が大きいことが明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)