2003 Fiscal Year Annual Research Report
温度応答性高分子抽出法の新展開-微量金属の抽出平衡の解明と高濃縮分析法の開発-
Project/Area Number |
15550061
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
菊地 洋一 岩手大学, 教育学部, 助教授 (50241493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 昭二 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (50232591)
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Keywords | 温度応答性高分子 / PVME / キレート抽出 / イオン対抽出 / 第四級アンモニウム塩 |
Research Abstract |
本研究では,温度応答性高分子(ポリビニルメチルエーテル:PVME)を用いた抽出法の研究の新たな展開として,微量金属イオンを目的物質として,次の2点を目的としている.(1)抽出平衡の解明,(2)極微量金属イオンの高選択・高濃縮法の開発である.平成15年度は,計画に従い(1)を中心に検討を行なった.得られた知見は以下のとおりである. 1.代表的なキレート抽出系として,オキシン抽出系の抽出平衡を検討した結果,PVME抽出法においても液-液抽出法と同様に平衡解析(50℃)を行なうことができた.Cu(II),Co(II),Ni(II)の抽出化学種は,ML_2であり,抽出定数の大きさは,Cu(II)>Co(II)>Ni(II)の順となった.現在,さらにZn(II),Cd(II)などについて検討中である. 2.代表的なイオン対抽出系として,一連の第四級アンモニウム塩の抽出平衡(50℃)の検討を行ない,抽出平衡,抽出定数を明らかにした.液-液抽出法の場合と同様に,第四級アンモニウムイオンの炭素数が増加すると抽出定数の対数値は直線的に増加した.直線の傾きを種々の有機溶媒の場合と比較した結果,PVME抽出は,オクタノール抽出に近い結果が得られた.PVME相の極性はオクタノールに近い環境と考えられる.一方,50℃におけるオクタノール相の平衡ではイオン対の部分的な解離が見られたが,PVME相ではイオン対の解離が無かった.これはPVME相のゲル相としての特徴と考えられる. 3.(2)の予備実験として,高濃度のPVMEを含む有機溶媒中の微量金属を黒鉛炉原子吸光法で測定する条件を検討した.PVMEの溶解剤にはアセトンが適していることがわかった.微量Cuの測定では温度プログラムの条件設定により,また微量Cdの測定ではマトリックス除去剤の添加により,高精度な測定が可能であることがわかった.
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