2004 Fiscal Year Annual Research Report
ICP質量分析法における有害物質の大気中への放出に関する評価とゼロエミッション化
Project/Area Number |
15550068
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
田中 智一 福井工業大学, 工学部, 助教授 (40236609)
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Keywords | ICP-MS / ゼロエミッション化 / 元素放出量 / 減圧ヘリウムICP / フィルター捕集 / 排気ダクト / ICP質量分析計 |
Research Abstract |
ICP質量分析計からの元素の放出については,プラズマの上方に設置されている排熱用ダクトからの放出が最も多いと考えられることから,このダクトを通って流れる元素の捕集を試みた。まず,ダクト内での移動速度に合わせて元素を捕集するため,ダクトの排気量を求めた。内径4mm,長さ5〜20cmの金属製パイプを,排気の流れに沿うようにダクト上端に挿入し,パイプを通って流れる空気量を測定した。パイプ内を流れる空気量はパイプの長さに反比例することから測定結果を外挿し,長さ0cmにおける流量を求めたところ,約4.2l/minであった。この値にパイプとダクト(内径98mm)の開口面積比(約600)を乗じて,ダクト部分における排気量を算出した結果,2.4m^3/minであった。次いで,ダクトから放出される元素を実際に捕集するため,ポリカーボネート製メンブレンフィルター(直径25mm,孔径0.1μm)を減圧濾過用ホルダーに装着し,そのホルダーの中心部を通るように金属製パイプ(内径2mm)を固定した。このパイプをダクト中央部に挿入し,ダクトの排気量と同じ線速度になるようにポンプで吸引して,ダクトを通過する元素の一部を一定時間フィルター上に捕集した。捕集済みのフィルターを0.1M硝酸に浸した後,超音波を照射してフィルター上の元素を溶液中に分散させた。この試料溶液中の目的元素を黒鉛炉原子吸光分析装置(GF-AAS)により定量した。目的元素としてYb(10μg/ml)を用いた。数回の測定を試みたが,GF-AASではYbのピークを検出できなかった。今回の結果からは,ICP-MSからの元素の放出の有無を断定するには至らなかったが,これはポンプの吸引速度の上限から内径の小さなパイプを捕集に用いたことが一因と思われる。今後,上記の点を改善し,元素の放出を定量的に明らかにしていきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)