2004 Fiscal Year Annual Research Report
過シュウ酸系化学発光剤の発光強度を高度に増大させる固体媒体の探索と分析への応用
Project/Area Number |
15550074
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉永 鐵大郎 九州工業大学, 工学部, 助教授 (80128123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市村 禎二郎 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (50016169)
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Keywords | 過シュウ酸系化学発光剤 / 発光強度増強 / 活性固体媒体探索 / 高感度分析 |
Research Abstract |
我々は、20余年前、酸素の検知管を作製しようと種々の無機固体粉体との反応を試みる課程で、ある種の「固体(媒体)」が有機系化学発光剤の発光強度を著しく増大させることを偶然見出した。その後、入手可能なあらゆる固体媒体を次々にテストし、幾つかの興味ある固体媒体に関して報告してきた。昨年度の研究で無機系酸化物の試料を用いた結果から、ナトリウム含有物質が発光強度の増大に有効であることを示した。有機物、特にサリチル酸塩を用いてアルカリ金属イオンを調べたが、今年度は、結果の信頼性を見るため、追試を行うと同時に、炭酸塩や塩化物塩でも確認実験を行った。NaイオンとKイオンは同程度の増強効果を示したが、いずれの化合物でもNaイオンの方がKイオンよりやや高かった。多塩基酸を構成する同一系列の化合物を用いて、NaイオンとKイオンの数の効果を調べたが、昨年のものに加えて、EDTA系列などのカルボニル基を含む化合物も追加し、繰り返し確認実験を行ったところ例外なく、Naまたは、Kイオン数の多いほど化学発光増強効果は増大することを示した(これらの成果は、8月に横浜で開催された国際会議ISBC2004で発表し、Chem.Lett.にも投稿した[2005年3月号])。また、この成果を利用すれば、現在、最高の触媒と考えられているサリチル酸ナトリウムを超えるものができる筈と考え、サリチル酸2ナトリウム塩を合成したところ、予想通り、サリチル酸ナトリウムの2〜3倍の高い増強効果を示すことが分かった。この化合物は、現在のところ、既知の化合物中では、最高の触媒活性媒体である(未発表)。さらにまた、我々の実験方法では、発光初期の添加直後の発光強度を知ることは困難なので、共同研究者である東京工大市村研究室にて、高速oscilloscopeにて、発光直後の初期過程を追跡した。これにより、実際の最高発光強度は、我々の測定方法で得られている強度よりも数倍高く、ミリ秒ないし、サブ秒レベルで最高値になっていることが解明できた。これらの成果を利用して、H2O2の定量分析を行ったところ、光パワーメータの場合10^<-8>mol程度の検出下限界値を得ることができた。活性固体媒体を利用すると2桁程度感度が上昇した。試料使用量を昨年度は、100μLから20μLまで低減させることができたが、今年度は、さらに、2μLまで低減させて実験を行った。これで、検出下限界(絶対値)を約1桁低減できたがこれ以下は困難であった。Lumicounterを利用すると、光子計数方式の高感度分析が可能なので10^8倍程度の高感度化が可能であったが、増強効果の高いサリチル酸を用いると理由不明だがブランク値が上がり、現時点では、測定できなかった。
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Research Products
(2 results)