2003 Fiscal Year Annual Research Report
使用環境を考慮した木材の有効利用のための揮発性物質の迅速評価法
Project/Area Number |
15550079
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
西本 右子 神奈川大学, 理学部, 講師 (70241114)
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Keywords | 木材 / 揮発性成分 / 迅速評価 / 熱分析 / 調湿条件 |
Research Abstract |
ホルムアルデヒド放散量の少ない建材として木材が見直されているが、木材抽出成分の沸点は200℃以下のものが多いことから全体としてのVOC放散量は少なくないことが予想される。また木質系収蔵庫では使用される米スギから揮発する酸性物質が文化財に影響を与えるなど解明すべき点も多く残されている。 これまでに建材メーカーや施工業者が適切な建材を簡易かつ迅速に選定するための測定法を確立しGCとTGにより2時間程度で建材中のVOC評価が行えることを報告してきた。本研究では測定法のさらなる精度向上を目指し、木材保存時の湿度が測定値に与える影響を検討し、次に木材の種類・産地・部位によって、VOC発生量と水抽出成分がどのように異なるかを分析化学的に検討した。さらに室内空気汚染対策として、室内で発生する悪臭物質や芳香剤と木材及びエコマテリアルとして期待される新素材である木材製活性炭、ウッドセラミックスとの相互作用を検討した。木材製の活性炭,複合材料であるウッドセラミックスについての基礎検討も行った。 その結果調湿条件によって木材のTG結果が異なり、75%調湿試料では初期熱分解成分であるセルロースや高温で分解するリグニン、低温で分解するグルコマンナンの分解開始温度も高温側にシフトすることがわかった。木材の種類・産地・部位によってVOC成分、発生量及び水抽出分は異なった。輸入木材ではVOC発生量が多く、水抽出分が酸性であることが明らかとなった。一般に木曽産の木材はTVOC値が高い傾向にあり、セルロースの含有量が多く分解開始温度も高い。セルロース含有量が多い木材はGC測定においてTVOC値が高いこともわかった。さらに木材を原料とするエコマテリアルである活性炭及びウッドセラミックスの利用が有効と考えられたため、基礎検討を行った。焼成温度の違いにより結晶化度や多孔質構造が異なることがわかった。調湿に用いる水として機能水も合わせて検討した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yuko NISHIMOTO, Yoichi KANEKI: "Detection of water-polar solvent interaction using melting of a eutectic"Thermochimica Acta. 399. 139-144 (2003)
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[Publications] M.Minagawa, H.Kanoh, S.Tanno, Yuko.NISHIMOTO: "Glass-transition Temperature (Tg) of Free-Radically Prepared Polyacrylonitrile by Inverse Gas Chlomatography, I"Macromol.Chem.Phys.. 203. 2475-2480 (2003)
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[Publications] T.Ohmura, W.Mori, H.Hiraga, M.Ono, Yuko NISHIMOTO: "Magnetic and Gas-Occlsion Properties and Catalytic Activity of Microporous Materials : Dinuclear Ruthenium (II.III)"Chemistry Letters. 32. 468-469 (2003)
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[Publications] 西本右子, 井上 啓: "電解水の安定性に対するpHおよび温度の影響"機能水研究. 2. 71-74 (2004)