2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15550081
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Research Institution | Japan Atomic Energy Research Institute |
Principal Investigator |
村松 康司 特殊法人日本原子力研究所, 放射光科学研究センター・電子物性研究グループ, 主任研究員 (50343918)
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Keywords | シンクロトロン放射光 / 軟X線分光 / 炭素材料 / 状態分析 / 電子状態 |
Research Abstract |
様々な機能をもつカーボンアロイ材料の開発には,カーボンアロイがもつ諸特性の起源を電子・分子レベルで把握することが重要であり,本研究では高輝度放射光を用いた高分解能軟X線分光法によってこの電子・分子構造を解明し,軟X線状態分析技術を確立することを目的とした。具体的には,(1)基礎研究としてカーボンアロイの基盤骨格となる様々な固体有機のX線分光データを蓄積・体系化することを目指した。あわせて,(2)カーボンアロイ系工業材料の軟X線分光測定から,本技術の分析技術実用化への検証を試みた。 (1)軟X線分光データの蓄積:炭素六角網面を基本構造とする様々な芳香族化合物の軟X線発光スペクトルを測定し,分子サイズとスペクトル形状との相関関係を見出した。これから,軟X線発光分光法によるナノグラファイトのナノサイズ/水素化率評価技術への展開が期待できる。 (2)分析技術実用化の検証:兵庫県の伝統的工業炭素材料である"いぶし瓦"の品質向上を目指して,瓦表面炭素膜の分析を試みた。その結果,いぶし瓦の特徴である光沢と耐久性の成因を炭素の構造の観点から定量的に解明した。また,風化による変色現象は表面炭素膜の酸化に起因することと,製造過程で生じるサビ欠陥は下地の焼結粘土素地と水との反応による酸化鉄であることを明らかにした。 高輝度軟X線用光学素子として期待される多層膜X線ミラーにおいて,界面層の状態分析技術を確立することを目的として,X線定在波下でのMo/B_4C多層膜の軟X線発光分光実験を試みた。その結果,定在波の位相に依存したX線発光スペクトル形状変化の観測に成功し,多層膜界面の非破壊状態分析技術として本法の有効性を示した。 ダイヤモンド半導体の電気特性制御を目的として,ホウ素ドープダイヤモンドの軟X線発光・吸収分光測定を行った。その結果,ホウ素と炭素のそれぞれについて,ドーパント濃度に依存したバンドギャップ構造変化の観測に成功し,ダイヤモンド半導体の評価手法として本法が有効であることを示した。
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Research Products
(7 results)