2003 Fiscal Year Annual Research Report
電解反応による極性変換―スルホナートを求核剤に用いる炭素―炭素結合生成反応
Project/Area Number |
15550082
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福原 彊 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50238507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 雅紀 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30322829)
原 正治 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20109490)
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Keywords | 有機電気化学 / 電解合成 / スルホナート / 炭素-炭素結合生成 / 極性変換 / 反応性電極 / 電解還元 / アルコールの合成 |
Research Abstract |
第1級アルキルトシラートとして3-フェニル-1-プロパノールのトシラートを基質に選択し、一室型セル中、陰極には白金板、陽極には亜鉛板もしくはマグネシウム棒、0.1MのBu_4NBF_4を含むDMFを溶媒に用いて定電流電解法で反応を行った。その結果、アルキルトシラートの電解還元は亜鉛、マグネシウムいずれを陽極に用いた場合にも主生成物として母体のアルコールを与えるのみであった。一方、相当するメシラートの電解還元反応では期待したメシラートの還元反応により生成したと考えられるプロピルベンゼンの生成を確認することができた。そこで、反応系内に求電子剤としてシクロヘキサノンを加えて電解還元反応を行ったところ、期待通りの炭素-炭素結合生成反応が進行し、1-(3-フェニルプロピル)-1-シクロヘキサノールを30%程度の収率で得ることに成功した。しかしながら、単純還元生成物であるプロピルベンゼンの生成も同時に確認された。そこで、プロトン源の確認ならびにプロピルベンゼン生成の制御に関して支持電解質を中心に種々検討を行ったが、目的生成物の収率に関して大きな改善は今のところ見られていない。シクロヘプタノンや他の鎖状ケトンを用いても同様の炭素-炭素結合生成反応が10〜30%の低収率ではあるが進行することも確認できた。今回の結果はアルキルスルホナートを求電子剤に用いて炭素-炭素結合を生成した初めての例である。一方、含フッ素アルキルスルホナートの電解還元反応に関しては、現在のところ複雑な混合物のみを与えることがわかり、次年度以降の更なる検討が必要であろう。
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