2004 Fiscal Year Annual Research Report
キラル物理学に基づく特異な結合効果の発現を目指す高度な秩序高分子膜の創製と応用
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15550100
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
田實 佳郎 関西大学, 工学部, 教授 (00282236)
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Keywords | キラル高分子 / 圧電性 / 旋光性 / 変調 / 繊維 / ポリ乳酸 / フィルム |
Research Abstract |
本年度は,最終年度として,キラル高分子結晶が示す旋光性や圧電性の結晶光学的評価とそれに基づく開発指針を得る実験を強力に進めた.以下に概要を示す. I)キラル高分子試料 昨年度は,対象とするキラル高分子をL型ポリ乳酸(PLLA)に絞っていたが,本年度はPLLAに対して側鎖が大きいpoly-γ-benzyl-L-glutamate (PBLG)を用意し,結合効果における側鎖の影響を検討することにした.PLLAとPBLGを主な試料として用いることにした. II)キラル高分子結晶が秘める機能性を引き出す構造制御法の追究 短時間で巨大な力を与えることで,キラル高分子膜の構造制御を行う方法を追及した.前年度判明した圧力ロスを改善した.また,側鎖に磁場に応答しやすい芳香環を持つPBLGの構造制御の手段として,圧力場に加えて,磁場を印加することを実現するための実験装置の試作もあわせて行った.特に10T以上の超伝導磁石の利用を考え,ヒータを用いない温度制御,溶媒雰囲気の制御に注力した. III)ずり型逆圧電性評価装置の確立とその圧電性の評価 圧力印加型高速紡糸により得たPLLAfiberを用い,前年度注目を集めたbiologicalなtweezerの具現化をすすめた.プロタイプの完成をみた.研究成果は7th European Conference on Applications of Polar Dielectrics (Czech)で発表したが,多くの反響を得た.また,磁場を使用し,溶媒雰囲気を制御し作成したPBLG膜に20pC/N以上の大きなずり圧電率を実現することができた.この値は従来法の100倍以上大きく,actuatorとしての可能性を開く. IV)ナノスケールでの結晶光学的評価 最近開発を進めてきた高分子膜用の高分解能複屈折旋光測定装置の完成をみた.この装置を使うことでPLLAとポリメチルメタアクリレートのブレンド膜を延伸し,十分な実用力学強度を持つ,分子鎖が配向しているにもかかわらず,複屈折値が非常に小さい透明フィルムを具現化した.本ブレンド膜は透明でありモバイル機の表示部に利用できる可能性があり,注目を集めた.
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Research Products
(12 results)