2005 Fiscal Year Annual Research Report
成分鎖の分子鎖形態転移によるABAトリブロック共重合体の会合挙動とゲル化の制御
Project/Area Number |
15550105
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
猪股 克弘 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (80232578)
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Keywords | 水溶性ポリペプチド / 会合挙動 / ゲル化 / ヘリックス-コイル転移 / 光散乱 / 両親媒性高分子 |
Research Abstract |
両末端に疎水性の長鎖アルキル基を有し、中央部が水溶性ポリペプチドとして知られるポリ[N^5-(2-ヒドロキシエチル)L-グルタミン](PHEG)であるような、両親媒性のABA型トリブロック共重合体の会合・ゲル化挙動についての詳細な知見を得る目的で、本年度は、PHEG鎖の片末端にのみ疎水性アルキル基を有するCn-PHEG(nはアルキル基CH_3(CH_2)_<n-1>-の炭素数)を取り上げ、希薄および濃厚溶液中の会合および相挙動について調べた。 n=12,14,16,18について、水/エチレングリコール(EG)混合溶媒に溶かした希薄溶液の会合挙動を検討したところ、以下の結果が得られた。(1)C12-PHEGは全く会合体を形成しない。(2)C14-PHEGはEG含率の増加とともにミセルからユニマー(会合せず分子状に溶解した状態)へと変化した。(3)C16-PHEG、C18-PHEGでは、EG含率が低い場合は球状の小さな会合体を、EG含率の高い場合には棒状の会合体を形成している。これは、PHEG鎖のα-ヘリックス含率の増加が影響していると考えられる。(4)C18-PHEGでは、EG含率50%の時、試料が一旦溶解した後数日経過すると、沈殿が生じ始めるという、特異な挙動を示した。 n=12と18については、同じく水/EG混合溶媒を用いた濃厚溶液での相挙動を調べた。C12-PHEGの場合、希薄溶液では見られなかったミセルの形成や、PHEG鎖のコンホメーション変化、アルキル鎖やPHEG鎖の結晶化などの要因により、その挙動は複雑に変化した。特に、C12の会合によるミセルの存在が系のゲル化を引き起こす要因であるため、EG含率の増加とともにミセルが崩壊することで系の粘度が急激に減少する挙動が見られた。
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Research Products
(3 results)