2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規なバイオ成分分離膜デバイスを創製する非吸着性マテリアルの開発
Project/Area Number |
15550110
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
長瀬 裕 東海大学, 工学部, 教授 (40155932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 一彦 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (90193341)
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Keywords | ホスホリルコリン / ジアミンモノマー / 芳香族ポリアミド / ポリウレタン-ウレア / バイオマテリアル / 生体適合性 / 抗血栓性材料 / 膜透過性 |
Research Abstract |
耐熱性と機械的強度に優れた生体適合性高分子材料を目的として、初年度合成に成功したホスホリルコリン(PC)基含有ジアミンモノマーをベースに、芳香族ポリアミドおよびポリウレタン-ウレアなどにPC基を導入した重縮合・重付加系ポリマーの合成を行った。本年度は、PC基含有ジアミンモノマーについて重合性およびPC基の運動性を高めるべく化学構造に改良を加えた。その結果、新たに合成したPC基含有ジアミン化合物をモノマーとしてより高分子量で生体適合性に優れたポリアミドおよびポリウレタン-ウレアを合成することができた。XPS分析等を利用して膜表面の構造解析を行ったところ、従来のジアミンモノマーから得られるポリマーに比べ同じ組成でもより多くのPC基が膜表面に局在化され、それに起因する高い生体適合性が発現することを明らかにした。特に、新しいモノマーから得られるPC基含有ポリウレタン-ウレアは、柔軟なポリオキシアルキレン鎖を導入することでフィルムやチューブを作製できる機械的特性に優れたポリマーとなることを見出した。したがって、本研究で得られたポリマーは医療用デバイスやバイオ成分の分離膜などに利用するにあたり実用的な素材となることが期待できる。 一方、透過性の高い高分子膜材料としてポリジメチルシロキサン(PDMS)を側鎖に導入した同様な縮合系ポリマーの合成を別途検討しており、本年度は、PDMS鎖とポリエチレンオキシド(PEO)鎖を交互にグラフト化した新規なポリアミドの合成と透過性の評価を行った。得られた交互グラフト共重合体はPDMS鎖による高い透過性とPEO鎖による機能(金属イオンへの配位能、親水性など)を併せ持つ分離膜素材となり得ることを見出した。 以上述べたように、本研究の最終目標であるデバイス化までは到達していないが、高い機械的強度や耐久性、透過性を示し生体適合性に優れた実用的な非吸着性マテリアルを開発することができたと考えている。
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