2004 Fiscal Year Annual Research Report
論理ゲート機能をもつ電気化学素子の構築。電子と化学信号による蛍光のスイッチング
Project/Area Number |
15550116
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小村 照寿 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (00019746)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 孝浩 金沢大学, 自然科学研究科, 講師 (90272947)
|
Keywords | アジン系色素 / 蛍光 / 酸化還元 / 電子移動 / 化学修飾電極 / 吸収スペクトル / 色素 / スイッチング |
Research Abstract |
酸化還元入力に対するフェノサフラニン薄膜の光応答について報告する。電極の電位を変化させて薄膜中の色素D^+を還元すると、非共役形の5-ヒドロ-10-フェニリル-フェナジン環ができるために、吸収スペクトルの可視吸収帯が消失した。電位対吸光度の微分曲線はD^+のDH_<2^+>への一段還元と一致しているが、移動電子数は2よりも小さく、薄膜の不均一還元を示すものであった。しかし、50回の電位ステップ繰返し実験は、色素が赤色の酸化体と無色の還元体間で再現性のよい変化を示し、電子-光信号処理に必要な可逆的なエレクトロクロミックな挙動を示した。膜厚を小さくすると、吸光度-時間曲線の立ち上がり特性が改良され、膜厚200nmでは電流応答は5秒以下で半無限拡散支配になることが分かった。 薄膜を可視吸収帯で励起すると、酸化状態の色素は極大波長が580nmの強い蛍光を発する。蛍光寿命3.8nsは水中の寿命よりもやや長いので、励起一重項状態は陰イオン性ポリマーによって消光されない上、励起三重項状態とは異なって溶液中の酸素にも感応しないことが分かった。一方、色素の還元体は可視光線を吸収しないので、可視光を照射しても蛍光を発しない。二つの酸化状態間での蛍光の電気化学的スイッチングは、酸性溶液中ほど色素の酸化還元速度が速いので、応答時間が短くなることが分かった。赤色の酸化体と無色の還元体間での電位ステップ繰返し実験によると、薄膜の酸化還元に伴う電解質の出入りや水和度の変化に由来する薄膜の膨張収縮の影響は、膜厚100nm以下では±10%の実験誤差内で無視できることが分かった。
|