2004 Fiscal Year Annual Research Report
側鎖液晶基駆動を制御するイオン伝導領域をもつ液晶性ポリオキセタンの特性解明
Project/Area Number |
15550117
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
元井 正敏 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (70019751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 重義 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (50115226)
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Keywords | 液晶性高分子 / ポリオキセタン / ポリオキシラン / 開環重合 / イオン伝導 / アゾベンゼン / 液晶基駆動 / 分子設計 |
Research Abstract |
研究課題を遂行するため,サーモトロピック側鎖型液晶性高分子の中に外部刺激を直接伝えるイオン伝導領域を結合することを考えた。このため、オキセタン環の側鎖にアゾベンゼンコアを中心に結合するスペーサーとテイル部にトリ(オキシラン)鎖を挿入した種々のモノマーを合成し、これらのカチオン開環重合により対応するポリマーに導いた。この結果,トリ(オキシラン)鎖の挿入によりこれらポリマーの等方相転移温度(T_i)は大幅に低下することが分かった。示差走査熱量分析(DSC)の冷却過程で,スペーサー部が-CH_2O(CH_2)_4O(CH_2CH_2O)_3-の場合,メトキシ基テイルでT_iが14.9℃となり,エトキシおよびプロポキシ基テイルでも60℃程度まで低下した。これらポリマーのいずれも偏光顕微鏡で球晶組織を示した。これらポリマーにLiClO_4を溶解した場合,メトキシ基テイルのポリマーは冷却過程でのDSCで針状の組織を示した。他は冷却過程でのDSCに熱的変化は見られず,偏光顕微鏡組織も何ら観られなかった。LiClO_4の添加によりオキシエチレン基団がリチウムイオンに共同的配位をするため,メソゲン同士の間隔が狭まりテイル間での反発を生じ,液晶相の形成が妨げられる。テイルが小さい場合は反発が大きくなく液晶相の形成が容易となり,本研究の目的とする構造が構築されたと考えられる。一方、テイル部にトリ(オキシエチレン)基を挿入した-O(CH_2CH_2O)_3C_6H_4-p-Fの場合,LiClO_4の添加の有無に拘わらず,DSCでの熱的変化も偏光顕微鏡組織も観られなかった。これは,テイル部が-O(CH_2)_4OC_6H_4-p-Fを持つ類似ポリマーのみの場合,T_iが133℃であり,偏光顕微鏡で扇状組織が観られた結果と比べ大きな相違であった。電圧印加用試料ホルダーにポリマーを注入し,電圧印加下(1〜3V)で偏光顕微鏡観察したが液晶の変化は観られなかった。試料ホルダー内に溶融したポリマーを注入することが容易でなく,ホルダー内に空隙が多くあったためと思われる。今回の成果については第54回高分子年次大会(1Pd058,2005年5月,横浜)で口頭発表する。また,液晶性に及ぼす液晶基の構造要素の影響については学術雑誌に投稿して審査中である。
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