2003 Fiscal Year Annual Research Report
常温溶融塩の化学種の構造と電極反応機構の相関の解明
Project/Area Number |
15550131
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
田坂 明政 同志社大学, 工学部, 教授 (90066275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 真司 (財)高輝度光科学研究センター, 放射光研究所, 研究員
稲葉 稔 同志社大学, 工学部, 助教授 (80243046)
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Keywords | 常温溶融塩 / イオン性液体 / テトラメチルアンモニウムフロライド / 高エネルギーX線回折 / 液体構造解析 / 電解フッ素化 / パーフルオロ化 / Sol-Gel法 |
Research Abstract |
(1)および(2)常温溶融塩の調製と構造解析 これまでの研究で、HFフィーダーからガス状の無水フッ酸を(CH_3)_4NFに吹き付けることによって、高純度(95%以上)の溶融(CH_3)_4NF・mHF(m=3〜5)を調製することに成功している。 高エネルギーX線回折実験により、この溶融塩と比較サンプルとした溶融NH_4F・nHFの回折データを高い散乱ベクトルQ=25Å^<-1>(=4πsinθ/λ)まで測定し、構造因子S(Q)および二体分布関数g(r)を求めた。これら2種類の溶融塩に対するS(Q)およびg(r)を比較することで、以下の情報を得ることができた。(CH_3)_4NF・mHF(m=3〜5)は、液体状態にもかかわらず、(CH_3)_4N^+カチオン-カチオン相関(Q<5Å^<-1>の特徴的なピーク)を有するため、秩序のある中距離構造を持ち、Q>5Å^<-1>においても溶融NH_4F・nHFよりも強い振動が観測されたため、NC_4の正四面体による強固な分子内構造を保持している。g(r)中で2.4Å付近にピークが観測されたことより、(FH)_xF^-アニオンが存在していることが確かめられ、特に、(FH)_2F^-アニオンが多く存在していることが示唆されている。この詳細は、Journal of Physical Chemistry A,108,1127(2004)に掲載された。 (3)常温溶融塩の電解および陽極材料の表面分析 溶融(CH_3)_4NF・mHFおよび、それにCsF・2HFを加えた混合溶融塩を電解液に、また、ニッケル板およびそれにLiNiO_2を被覆したものを陽極に用いて電解を行った。3.5V以上の陽分極を行うと、陽極上で、(FH)_xF^-アニオンから電気化学的に活性な原子状のFが作られ、溶融塩中に含まれる(CH_3)_4N^+カチオンのパーフルオロ化が進行することが確かめられている。また、陽極材料としてLiNiO_2を被覆したものを使用すると、陽極表面に絶縁物であるNiF_2の生成が抑制されることが確認されている。一方、CsFが存在すると、陽極上の被膜にCsNi_2F_6も生成した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Shodai, S.Shinji, M.Inaba, A.Tasaka: "Anionic Species (FH)_xF^- in Room-Temperature Molten Fluorides (CH_3)_4NF・mHF"Journal of Physical Chemistry A. 108(7). 1127-1132 (2004)
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[Publications] Y.Shodai, M.Inaba, A.Tasaka: "Electrolysis of mixed melt of(CH_3)_4NF・mHF+xwt.% CsF・2.0HF with nickel anode"Electrochimica Acta. 49. 2131-2137 (2004)