2004 Fiscal Year Annual Research Report
粘土鉱物と金属錯体で構築する自然共生型ナノ構造触媒の創製
Project/Area Number |
15550137
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
島津 省吾 千葉大学, 工学部, 助教授 (10178957)
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Keywords | 酸化反応 / 粘土鉱物 / インターカレーション / ナノ複合体 / ポルフィリン錯体 / ピラー錯体 / エポキシ化 / グリーン触媒 |
Research Abstract |
本研究では、より均一な活性サイトの構築を目的として、自己集合性を持つピラー錯体を分子設計して粘土鉱物層間に導入することにより、著しく結晶性の高い金属錯体-粘土鉱物ナノ複合体を得た。結晶中のピラー錯体は、溶液中と著しく異なる特徴的な立体構造を保持していた。この特徴的な構造により、均一系触媒と顕著に異なる反応挙動を示した。本年度は、ポルフィリン環を組込んだピラー錯体を合成して、粘土鉱物へ導入し、ポルフィリン錯体-粘土鉱物ナノ複合体を合成し、錯体の配向性制御に成功した。合成した触媒を用いて、オレフィンの酸化反応を行い、反応活性、選択性について比較、検討した。 【ピラー錯体合成】ポルフィリン環の近傍に電荷が存在する錯体(internal type)とアルキル鎖の末端に電荷が存在する錯体(terminal-type)の二種のポルフィリン錯体を合成した。また、アルキル鎖は、methyl(C1),butyl(C4),hexyl(C6),octyl(C8),dodecyl(C12)基を結合させてスペーサーサイズを変化させた。 【ナノ複合体合成】XRD測定より、ナノ複合体の層間隔サイズは、Internal typeでclearance space (C.S.)は、0.43^〜0.51nmとなり、ポルフィリン環の厚みと同程度であった。層に対してポルフィリン環が平行に存在していることが示唆された。一方、terminal-typeでは、C.S.=1.28^〜1.68nmと著しく拡大した。層に対しポルフィリン環が33°傾いた配向性を取り、C.S.を任意に制御できた。ナノ複合体のUV-Vis測定により、soret帯とQ帯がピラー錯体に比べて長波長側にシフトが見られた。 【触媒活性】酸素を酸化剤とするスチレンの酸化反応(Isobutyraldehyd共存下)で活性が見られた。すべての触媒において、錯体系触媒より活性がナノ複合体触媒で増大し、また、触媒安定性も著しく向上した。活性は、internal-typeでは、アルキル鎖長には依存せず、terminal-typeではアルキル鎖の長さに比例して活性が増大した。 以上の結果より、ポルフィリン組込型錯体-粘土鉱物ナノ複合体触媒を合成した。層間隔を制御することで高活性を向上させ、また、安定な触媒を得た。リサイクル可能でグリーンプロセスに適用可能な新規な固定化触媒の合成に成功した。
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Research Products
(5 results)