2003 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫のヘム無毒化機構解析とヘム結合性抗マラリア薬の探索
Project/Area Number |
15550146
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
田嶋 邦彦 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (50163457)
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Keywords | マラリア / ヘム代謝 / ペプチド / ヘム-ペプチド複合体 / ESR / ヘム無毒化 |
Research Abstract |
本年度は、マラリア原虫に感染したマウスの赤血球だけでなくHRPモデルとしてのオリゴペプチドとヘムの錯体を同時に取り扱うことでマラリア原虫のヘム無毒化機構を解釈し、得られた分子論的知見を基盤とする抗マラリア薬の探索である。まず、実験動物の赤血球の電子スピン共鳴(ESR)測定からマラリア原虫のヘム無毒化機構と遊離ヘムの存在状況を検討する。さらに、ヘムとヒスチジンリッチタンパク質(HRP、30kDa)錯体のモデル系構築を目指して、9から54残基のオリゴペプチドを合成し、それらとヘムの結合定数および配位構造を分光学的に解析する。ヘムHRPモデル錯体との配位子交換反応からヘム結合性薬剤のスクリーニングを実施し、それらの抗マラリア活性をマラリア感染マウスで評価した。たとえば、イミダゾール基を有する抗カビ薬剤として使用されているCLTは、ヘム結合性抗マラリア薬として作用する可能性がある。最後に、ヘムとヘム結合性抗マラリア薬(たとえばCLT)の錯体については、ESRおよび分光学測定から配位構造を解析すると共にグルタチオン(GSH)に依存する還元的ヘム分解反応に対する耐性を検討した。 さらに、ヘムのESR信号をマラリア原虫のヘム無毒化および抗マラリア薬の生理活性プローブとして、赤血球からモデル錯体に至る多彩な実験系から得られる観測結果を相補的に解釈する研究方法を採用した。これまでの研究で、ヘムHPRおよびモデルペプチド錯体は六配位型低スピン(S=1/2)錯体を形成し、良好なプローブとなる特徴的なESR信号を与えることが判明している。極低温ESR測定の他に、下記の実験系に本学に既設の生化学的分析装置、光吸収、円二色性分光、核磁気共鳴あるいは電気化学測定装置を併用して、マラリア原虫のヘムの無毒化機構解析と、新規抗マラリア薬の分子論的な探索を実施した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tajima, K: "Effect of phosphorothioate chirality on i-motif structure and stability"Biochemistry. (In press).
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[Publications] Tajima, M.: "Nitration of 2'-deoxyguanosine by a NO/O2 gas mixture : identification and characterization of N2-nitro-2'-deoxyguanosine"Org.Lett.. 5. 3173-3176 (2003)
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[Publications] Tajima, K.: "Cu(II) and Zn(II) bound in the triple stranded α-helical coiled-coil activate water molecule : prototype for metalloenzyme"Peptide Synthesis. 1004(In press).
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[Publications] Tajima, K.: "Flow-injection EPR investigation on OH Radical Scavenging Activity of Gd(III) Containing MRI"J.Medicine. 2004(In press).
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[Publications] Tajima, K.: "One-step concentration of malarial parasite-infected red blood cells and removal of contaminating white blood cells"Malaria Journal. 2004(In press).