2004 Fiscal Year Annual Research Report
複核金属酵素の機能変換:加水分解酵素の酸化機能発現
Project/Area Number |
15550147
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 和也 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (80252550)
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Keywords | ウレアーゼ / 金属酵素 / 生物無機化学 / ニッケル / 酸化酵素 |
Research Abstract |
活性中心に2つに金属イオンを有する金属複核酵素の構造と機能解明を目指し、ニッケル複核加水分解酵素であるウレアーゼの活性中心周辺構造を制御することにより、酸化酵素機能発現(ペルオキシダーゼ活性、ポリフェノールオキシダーゼ活性、カタラーゼ活性)を調べた。活性中心の金属イオン置換(鉄・銅・マンガンなど)および部位特異的変異による配位アミノ酸残基置換(His,Asp,Glu,Lysなど)により、酸化活性キャビティの構築を行い、酸化機能を評価することにより、酵素活性の構造要因の解明、機能改変を実現させることが本研究目的である。 本研究成果は以下のものである。 1.銅置換ウレアーゼの酸化活性発現:ウレアーゼの活性中心金属イオンを銅に置換することによりペルオキシダーゼ活性、ポリフェノールオキシダーゼ活性を発現することを世界で初めて見出した。 2.鉄置換ウレアーゼおよびマンガン置換ウレアーゼの酸化活性発現:鉄置換ウレアーゼとマンガン置換ウレアーゼは、銅置換ウレアーゼよりも活性が低いが、ペルオキシダーゼ活性を示すことを明らかにした。さらに、マンガン置換ウレアーゼでは、過酸化水素を酸素に分解するカタラーゼ活性も示すことがわかった。 3.金属酵素の機能変換の実現:ウレアーゼの活性中心金属イオンの置換および金属配位アミノ酸残基置換によって、加水分解から酸化へ機能を変換することが可能であるということを証明することで、酵素の機能は特異性が高いと考えられていた従来の常識をうち破り、活性部位構造の制御によって酵素機能特異性が改変できるという酵素化学における新しい概念を創出し、新規機能性酵素の分子設計を行う上での新指針を提案することに成功した。
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