2004 Fiscal Year Annual Research Report
βシートポリペプチドを結合したポルフィリン錯体の自己集合と多電子酸化還元触媒作用
Project/Area Number |
15550149
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
新井 徹 九州工業大学, 工学部, 助教授 (50222716)
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Keywords | ポルフィリン / ポリペプチド / 自己集合 / ベータシート構造 / 酸化反応 / ヘム酵素 / 触媒反応 / CDスペクトル |
Research Abstract |
1、両親媒性「ポリペプチド修飾ポルフィリン」の合成と水溶液中での自己組織化 両親媒性βシート構造をとる5残基のポリペプチド、AcCysLysValLysValNH2およびAcCysGluValLysValNH2を合成し、トランス位にブロモアセタミド基を有するポルフィリンと反応させ、ポリペプチドを2本結合したポルフィリンを得た。 CD、NMRスペクトルから、この分子では、2本のポリペプチド鎖が逆平行βシート構造を形成していることが示された。このβシート構造はポリペプチド鎖2本では不安定であり、水溶液中この分子は多数集合する。実際、水溶液中での吸収スペクトルやHPLC分析において顕著な濃度依存性が示された。 2、両親媒性「ポリペプチド修飾ポルフィリン鉄錯体」の合成と酸化触媒作用の検討 両親媒性βシート構造をとる5残基のポリペプチドの他に両親媒性αヘリックス構造をとる11残基のポリペプチドをポルフィリンに結合させ、分子全体が球状に近くなる分子を合成し、鉄錯体を調製した。この化合物を触媒として、過酸化水素水、クメンヒドロパーオキシドを酸化剤、ペルオキシダーゼ活性の指示薬(メチレンブルー誘導体)、フェノール誘導体を基質として、ヘム酵素の一つであるペルオキシダーゼ類似の触媒反応を試みた。 ポリペプチド中に配置した2つのヒスチジン残基は、水溶液中ではポリペプチドの一次構造にあまり依存せず、鉄ポルフィリンに配位した。これは鉄三価錯体、鉄二価錯体いずれにおいても確かめられた。メタノールなどの有機溶媒を添加することでポリペプチドの二次構造は変性し、αヘリックス構造の含率が高まった。疎水性の高い酸化剤が円滑な酸化反応を引き起こすことと、反応の動力学的解析から、鉄三価錯体から高酸化状態の鉄錯体が生成する段階が律側段階であることが示された。
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Research Products
(2 results)