2003 Fiscal Year Annual Research Report
キトサン/機能性ナノ粒子ハイブリッド・ヨウ素超分子錯体の自己集合化とその生理活性
Project/Area Number |
15550153
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
矢島 博文 東京理科大学, 理学部, 教授 (10147506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 武司 東京理科大学, 工学部, 助教授 (10224718)
深井 文雄 東京理科大学, 薬学部, 助教授 (90124487)
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Keywords | キトサン / ナノ粒子 / ヨウ素 / 超分子錯体 / 自己集合 / 生理活性 / 抗菌作用 / 抗腫瘍効果 |
Research Abstract |
天然アミノ多糖であるキトサン(Ch)はヨウ素との錯形成(ChI)により秩序配向された自己集合を起こす。本研究は、有用な生理機能を有するキトサンとヨウ素を素材とした環境調和性に富む新規でかつヨウ素の毒性を軽減させた新規生理機能性材料の開発の目的から、キトサンに(1)キトサンに種々の機能性ナノ粒子をハイブリッドさせた化合物を合成し、(2)それらとヨウ素との間で構築される自己集合化3元超分子錯体の物理化学的特性を究明するとともに、(3)その超分子錯体の構造と抗菌作用や抗腫瘍効果等の生理活性との相関性を評価する。なお、本研究ではナノ粒子として、球状で特異な機能をもち、かつ表面電荷の異なるデンドリマー(ポリプロピレンイミンデンドリマー)、フラーレン(C_<60>)、および金粒子の3種類を対象に選んだ。本年度は、Mw=11000、脱アセチル化度96%のキトサンを使用し、(1)メチルエステル化度を0.25とした後、世代G1、G2、G3のポリプロピレンイミンデンドリマー(PPID)とハイブリッド(CDH)合成し、また(2)キトサンとS-アセチルメルカプトコハク酸の反応後、NaOHより加水分解して得られるチオール化キトサン(SH基導入率0.08)と塩化金酸と水素化ホウ素化ナトリウムの反応により得られる粒径約8nmの金ナノ粒子とを混合し、金粒子SH化キトサンハイブリッド(CGH)を調製した。生理活性として大腸菌に対する抗菌効果を評価した。それらのハイブリッドのヨウ素超分子錯体の物理化学的性質および生理活性として、(1)CDHのヨウ素錯体(CDHI)の分光特性は、ChI錯体のそれに類似しており、500nm付近に特性吸収帯をもち、またそれに対応して正負に分離したCD帯を有す。ヨウ素濃度の増加に伴い、これらの光学量はシグモイド曲線を描きながら大きくなる傾向がみられた。CDHのヨウ素に対する錯形成能はデンドリマーの世代に依存し、G1が最も高かった。CDHのヨウ素錯体の分子サイズは錯形成能に対応して大きくなる傾向があり、錯形成に分子集合が重要な役割を担っていることが示唆された。CDHの抗菌効果はデンドリマーの世代によらずChに比べて小さいが、デンドリマー間では表面アミノ基の数に比例して強く、G3>G2>G1であった。ヨウ素錯体の抗菌作用や抗腫瘍効果等の生理活性については、現在検討中である。(2)一方、金粒子は粒子特有の表面プラズモン吸収のピークを520nm前後にもち、凝集に伴い、レッドシフトすることが知られている。CGHと無修飾キトサンと金粒子に比べて、CGH吸収ピークは短波長にあり、ハイブリッド化により金粒子間の凝集が抑制されることが示唆された。CGHはヨウ素との錯形成より、ChI錯体同様、510nm付近に錯体特性吸収帯および正負に分裂したCD帯を示した。ただし、それらの光学量はChI錯体に比べ小さかった。生理活性について、ChとCGHとの間に大きな差は認められなかった。ヨウ素錯体の抗菌作用や抗腫瘍効果等の生理活性については、現在検討中である。また、現在テトラエチレングリコールをスペーサーとするフラーレン付加物の合成に成功し、キトサンとフラーレンのハイブリッド(CFH)合成の準備に入っている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Sashiwa, N.Kawasaki, A.Nakayama, E.Muraki, H.Yajima, N.Yamamori, Y.Ichinose: "Chemical Modification of Chitosan. Part 15 : Synthesis of Novel Chitosan Derivatives by Substitution of Hydrophilic Amine Using N-carboxyethylchitosan Ethyl Ester as an Intermediate"Carbohydr.Res.. 338. 557-561 (2003)
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[Publications] H.Sashiwa, H.Yajima, Y.Ichinose, N.Yamamori, J.Sunamoto, S.Aiba: "Chemical Modification of Chitosan 16 : Synthesis of Polypropyleneimine Dendrimer-Chitosan Hybrid"Chitin and Chitosan Research. 9. 45-51 (2003)
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[Publications] H.Sashiwa, H.Yajima, S.Aiba: "Synthesis of a Chitosan-Dendrimer Hybrid and Its Biodegradation"Biomacromolecules. 4. 1244-1249 (2003)
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[Publications] H.Sashiwa, N.Yamamori, Y.Ichinose, J.Sunamoto, H.Yajima, S.Aiba: "Studies on Chitin and Chitosan 36 : Modification of Chitosan or N-carboxyethyl-chitosan with Laurylaldehyde and Their Biodegradation"Chitin and Chitosan Research. 9. 205-210 (2003)