2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムは如何に壊れるのか-結晶構造に基づくヘムオキシゲナーゼの触媒機構の解明
Project/Area Number |
15550155
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
坂本 寛 久留米大学, 医学部, 講師 (70309748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東元 祐一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (40352124)
野口 正人 久留米大学, 医学部, 教授 (10124611)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / ヘム分解反応 / 活性酸素種 / 電子スピン共鳴 / NADPH-シトクロムP450還元酵素 / 電子伝達 / 蛋白質-蛋白質相互作用 / 表面プラズモン共鳴 |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)は生理的ヘム分解を担う酵素で、基質ヘムが補酵素として機能し、酸素を活性化して自身を分解する反応(ヘム→α-ヒドロキシヘム→ベルドヘム→ビリベルジン)を触媒する。HOの生理機能として、酸化ストレスに対する生体防御機構およびCOを介する情報伝達機構への関与が注目されている。我々はこれまでにHOの結晶構造に基づき、ヘム結合による誘導適合および酸素活性化機構についてのモデルを提唱してきた。また、電子・酸素滴定法を用いてHO反応中間過程における電子要求性の有無を明らかにしてきた。本研究では、酸素活性化モデルの構築を目的とし、HOの活性酸素種であるferric hydroperoxide(Fe^<3+>-OOH)と類似の構造をもつモデル化合物としてヒドロキシルアミンおよびヒドラジンを用いて、ヘム-HO複合体への結合性を検討した。その結果、これらはヘムに対し1対1の割合で結合し、解離定数はそれぞれ9.8mMと1.9mMであった。これらの結合はpH依存性を示すことから、中性状態で結合していることが示唆された。また、電子スピン共鳴測定より、ヘムに結合したヒドロキシルアミンの一部はFe^<3+>-OOHと同様の低スピンシグナルをもつことが観測された。これにより、非常に反応性が高く解析困難であったFe^<3+>-OOHの性質をこのモデルを用いて解明できる可能性が示唆された。また、本研究では電子供与体であるNADPH-シトクロムP450還元酵素からHOへの電子伝達経路の特定も行った。すなわち、HOの結晶構造から電子伝達に重要と想定されるアミノ酸残基の変異体を作製し、その酵素活性および還元速度の違いを検討することで、HOと還元酵素との会合に必要な残基を特定した。また、HOと還元酵素との相互作用を表面プラズモン共鳴により解析し、その結果をまとめた論文を投稿準備中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hiroshi Sakamoto: "The reactivity of α-hydroxyhaem and verdohaem bound to haem oxygenase-1 to dioxygen and sodium dithionite"European Journal of Biochemistry. 269. 5231-5239 (2002)
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[Publications] Manabu Satani: "Expression and characterization of human bifunctional peptidylglycine α-amidating monooxygenase"Protein Expression and Purification. 28. 293-302 (2003)
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[Publications] Shunsuke Hayashi: "Purification and characterization of a soluble form of rat liver NADPH-cytochrome P-450 reductase highly expressed in Eseherichia coli"Protein Expression and Purification. 29. 1-7 (2003)
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[Publications] Masakazu Sugishima: "Crystal structure of rat heme oxygenase-1 in complex with biliverdin-iron chelate"The Journal of Biological Chemistry. 278. 32352-32358 (2003)
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[Publications] Masakazu Sugishima: "Crystal structures of ferrous and CO-, CN^-, and NO-bound forms of rat heme oxygenase-1 (HO-1) in complex with heme : structural implications for discrimination between CO and O_2 in HO-1"Biochemistry. 42. 9898-9905 (2003)
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[Publications] Hiroshi Sakamoto: "Hydroxyheme and hydrazine bind directly to the heme iron of the heme-heme oxygenase-1 complex"Journal of Inorganic Biochemistry. 発売予定.