2004 Fiscal Year Annual Research Report
鋳型光重合を用いた導電性高分子/DNAナノ組織体の開発とデバイスの高効率化
Project/Area Number |
15550159
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 範久 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50195799)
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Keywords | DNA / ポリアニリン / 電荷輸送性 / 光電機能材料 / ナノデバイス / 有機EL素子 |
Research Abstract |
Ru(bpy)_3^<2+>を用いたアニリン2量体{N-フェニル-p-フェニレンジアミン(PPD)}の光重合時にポリアニオンであるDNAを共存させると、DNAの高次構造を反映したポリアニリン(PAn)/DNA高次組織体が生成できる。また、このDNA組織体を用いて応答性が早く、高輝度なRu発光型のEL素子の試作に成功した。本研究では、第1に特徴あるEL素子を構築するため、赤色発光を示すDNA高次組織体に緑色発光を示すAlq3錯体を積層した素子を作成し、その発光挙動について検討を行った。次にこの高次組織体を分子ワイヤーへ展開するべく、電極間での高次組織体の配列制御について検討を行った。 ITO透明電極上にDNA/PAn高次組織体膜、Alq3錯体膜を順次積層し、対向電極としてAlを蒸着したセルを作成し、電圧に対する発光挙動を観察したところ、印加電圧6V付近から緑色、12V付近から黄色、さらに16V付近から赤色の発光が認められ、この素子が電圧によって発光色を制御できることが明らかとなった。機構の詳細については不明な点が多いが、高次組織体に含まれるPAnの正孔輸送性が大きな寄与を及ぼしていることが明らかとなった。より発展すれば1ピクセルからの多色発光も可能となるため、効率が良く高精細な表示媒体への展開が期待できることを示唆した。 DNA/PAn高次組織体をより特徴ある光電機能材料や分子ワイヤーとして利用するためには、その配向性の制御が必要不可欠である。そこでまずDNAとRu(bpy)_3^<2+>からなる組織体の静電伸長について検討を行った。DNA分子長より短い電極間距離を有する表面型電極を作成し、DNA/Ru(bpy)_3^<2+>組織体の静電伸長を行ったところ、組織体が電極間を橋渡しする状態で両極間に固定できることが蛍光顕微鏡観察より明らかとなった。AFM観察でもそれを支持する結果を示しており、静電伸長が組織体の配列・配向制御に有効であることが示唆された。AFM結果から、現時点では単一分子レベルでの制御は得られておらず、多数の組織体が絡み合ったフィブリル状の構造をとっている。単一分子レベルでの機能を発現させるためにはより精密な条件設定が必要と思われるが、静電伸長は本高次組織体を分子ワイヤーに展開できる有効な手段に一つであることが確認できた。
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Research Products
(5 results)