2004 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質半導体材料へのナノ薄膜コーティング法の開発と色素増感太陽電池の高効率化
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15550160
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
昆野 昭則 静岡大学, 工学部, 助教授 (50205572)
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Keywords | 色素増感太陽電池 / ナノ多孔質半導体 / ナノ薄膜コーティング / 電荷再結合抑制 / 酸化スズ / 酸化亜鉛 |
Research Abstract |
16年度は、15年度の成果であるZnO/SnO_2複合電極におけるdoctor-blade塗布法での積層法を応用した、下記の研究を行った。 1.種々の酸化物半導体微粒子の組合せによる多孔質複合電極の作成 ドクターブレード法による膜の積層化法を、異なる種類の膜の積層に応用した。その結果、従来単独では極端に色素吸着量が小さいために光電変換効率が乏しかった酸化スズ電極でも、ZnO/SnO_2複合膜と積層することにより色素吸着量が向上し、高い光電変換効率を示すことを見出した。さらに、酸化スズ電極においてEosinY色素を吸着する際に亜鉛イオンが色素溶液に存在することで色素吸着量が大きく向上する事を新たに見いだした。 2.多孔質酸化スズ電極を用いる色素増感太陽電池の高効率化(色素吸着時の共存イオンの添加効果) 1.で見出された、亜鉛イオンの添加効果とセル性能向上の関係を明らかにすること、および塩の添加効果の一般性を確認する目的で、様々なカチオン種、アニオン種の異なる塩についての添加効果を調べた。アニオン種を変えた亜鉛塩の添加効果では、硝酸亜鉛については、色素吸着量は増加しないが、開放電圧が向上した。また、酢酸亜鉛などの有機酸の亜鉛塩では色素吸着量の増加分以上に開放電圧向上の効果が認められる。このことから、アニオン自体にも酸化スズ表面に吸着し、逆電子移動を抑制する働きがあるものと推測される。カチオン種を変えた酢酸塩の添加効果として、亜鉛、マグネシウム、銅、鉄等の金属カチオン塩は、色素吸着量を増加させた。この理由は、色素と金属が錯体を形成して電極表面に吸着しやすくなったためであると考えられる。また、亜鉛やマグネシウムのような酸化物のバンドギャップが大きな金属において開放電圧が向上した。このことは、多孔質電極表面に吸着したイオン種による逆電子輸送の抑制によるものであると考えられる。以上により、従来色素増感太陽電池の電極としては、低い性能しか示さなかった酸化スズ電極における、高効率化を実現することができた。
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Research Products
(4 results)