2003 Fiscal Year Annual Research Report
二次電池用リチウム貯蔵性金属間化合物の創製と中性子をプローブとしたリチウムの評価
Project/Area Number |
15550161
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
坂口 裕樹 鳥取大学, 工学部, 助教授 (00202086)
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Keywords | CeSn_3 / リチウム貯蔵性金属間化合物 / 負極材料 / リチウム二次電池 |
Research Abstract |
我々グループが見出したCeSn_3は、充放電第1サイクルにおける体積あたりの放電容量が炭素材料の3倍以上あることから、次世代の高容量リチウム二次電池負極材料として有望である。しかしながら、合金電極特有の問題点である第1サイクルの容量可逆性とサイクル安定性の乏しさがこの合金においても存在する。そこで本研究では、電極特性の改善を図る試みとして、メカニカルアロイングを用いてこの合金にあらかじめ機械的にリチウムを添加してみた。 リチウム添加量を種々変化させたところ、添加量の増加にともない容量可逆性が向上し、特にLi_<1.7>CeSn_3の組成の電極でほぼ100%に達することが見出された。一方、サイクル安定性もリチウム添加量の増加につれて改善されて行き、Li_<3.8>CeSn_3の組成で最も優れた性能が現れた。 機械的なリチウム添加によるCeSn_3電極の特性改善の原因を考察するために、この電極の充放電機構を、電気化学的測定に加えてX線や中性子線をプローブとした構造解析を行うことから推察した。CeSn_3に機械的にリチウムを添加すると一部母体合金が分解され、Li-Ce-Snが生成し、それをマトリックス相として活物質相であるCeSn_3やLi-Sn合金が微分散された状態が達成される。最初の充電ではCeSn_3とリチウムとの反応が起き、放電ではCeSn_3とLi-Sn合金からの脱リチウム化反応が起きる。その後のサイクルはCeSn_3とリチウムとの反応が支配的になるものと推測した。以上のことから、第1サイクルの可逆性が向上したのは、機械的なリチウム添加により活物質相の結晶子サイズが減少したためと考えられる。これにより活物質粒子内のリチウム拡散距離が短くなり、粒子深部に到達したリチウムも容易に放出されるようになったものと思われる。他方、サイクル安定性の向上は、微粒子化した活物質の体積変化の絶対的な小ささに加えて、Li-Ce-Sn化合物がマトリックスとなり活物質の体積変化に伴う応力を緩和したためと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Sakaguchi, H.Honda, Y.Akasaka, T.Esaka: "Ce-Sn Intermetallic Compounds as New Anode Materials for Rechargeable Lithium Batteries"J.Power Sources. 119-121. 50-55 (2003)
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[Publications] H.Honda, H.Sakaguchi, I.Tanaka, T.Esaka: "Anode Behaviors of Magnesium-Antimony Intermetallic Compound for Lithium Secondary Battery"J.Power Sources. 123. 216-221 (2003)
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[Publications] K.Hatakeyama, H.Sakaguchi, K.Ogawa, H.Inoue, C.Iwakura, T.Esaka: "Solid-State Metal-Hydride Batteries Using Heteropolyacid Hydrate as An Electrolyte"J.Power Sources. 124. 559-563 (2003)