2004 Fiscal Year Annual Research Report
マンガン反応剤の化学の新展閉に基づく有機合成反応の開発
Project/Area Number |
15550166
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北條 信 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (50229150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細見 彰 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (00004440)
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Keywords | 有機マンガン反応剤 / Lewis酸 / アルキル化 / アセタール / ケタール / アリルリン酸エステル / γ-選択性 / テトラヒドロピラン |
Research Abstract |
Lewis酸は、求電子剤を活性化することにより、求核性の低い有機金属反応剤の反応性を補う目的で使用される場合がある。しかしながら高反応性有機金属反応剤とLewis酸を組み合わせると、トランスメタル化反応などの両者が直接反応する望まない反応がしばしば併発する。特に、塩基性が高いアルキル化剤の使用は困難である。これに対して研究代表者らは、充分な求核性を有する有機マンガン反応剤とLewis酸を混合しても各々が本来有する反応性を低下させることはなく、むしろこの混合系が興味深い反応性を示すことを見つけた。これまでに有機マンガン反応剤とLewis酸の混合反応系は全く知られてはいない。そこでこの反応系に着目し、混合系をより広く捉えるために、より一般的なトランスメタル化により調製したアルキルマンガンアート反応剤とLewis酸との混合系を検討したところ、高反応性有機金属反応剤に対して保護基として用いられるアセタール類に対しても効率よく反応し、対応するアルキル化生成物が高収率で得られることを見つけた。興味深いことに、立体的に非常に混み合ったケタール炭素での求核置換反応も効率よく起こることが分かった。また、α-アセトキシテトラヒドロフランやテトラヒドロピランとの反応では、開環反応が起こることはなく、アセトキシ基を脱離基とするアルキル基による置換反応が起こり、α位にアルキル基を有するテトラヒドロフランおよびテトラヒドロピランが選択的に得られることも見つけた。 また、アリルリン酸エステル類との反応を検討したところ、γ-選択的アルキル化が起こることも見つけた。アリルリン酸エステル類に対しては、Lewis酸が脱離基を活性化しただけではアリルカチオンを経由するために、γ-選択性は発現しない。この結果は本反応系において、マンガン反応剤とLewis酸がアリルリン酸エステル類に対して協同的に作用していることを強く示唆するものである。
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Research Products
(1 results)