2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15550171
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
加納 博文 千葉大学, 理学部, 助教授 (60334166)
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Keywords | ナノ細孔体 / パラジウム / テンプレート法 / ポリビニルアルコール |
Research Abstract |
ポリビニルアルコール(PVA)フィルムをテンプレートとして用いる鋳型法により、パラジウム金属ナノ細孔体の合成法を検討し、得られたナノ細孔性金属の基礎特性を把握し、触媒機能を評価した。 10wt%のPVA水溶液を383Kで室温乾燥し、厚さ1mm程度のフィルムを作製した。このフィルムを硝酸パラジウムの硝酸溶液に入れ超音波処理し、パラジウムをフィルムの網目構造に含浸させた後洗浄し、室温で乾燥させた。さらに窒素雰囲気下で乾燥したフィルムを773Kで焼成することにより、ポリマーを除去し、ナノ細孔性金属パラジウムを得た。 粉末X線回折(XRD)測定の結果、硝酸パラジウムをフィルムに含浸した段階で、金属パラジウムに還元されていることがわかった。これはPVAの側鎖のヒドロキシル基が還元作用を有するために、特別な還元処理を施さずとも、1段階で金属パラジウムを生成させるという、有利な反応系である。 XRDピークの半値幅から、結晶子の大きさとして10nmと見積もられた。また、焼成後のパラジウムの熱分析から、67.5wt%のパラジウムを含むことがわかった。FE-SEM観察からも10nm程度の比較的均一な粒子が観察されたが、その周りに別の物質が存在することがわかった。X線光電子分光測定から周りの物質はアモルファスカーボンであると推定された。元素分析からも30wt%の炭素分が確認された。得られた物質の溶液内における酸化還元触媒作用は市販のパラジウム黒に比べ悪いものであった。77Kにおける窒素吸着等温線からBET比表面積は28m^2/gと低く、炭素分がパラジウムナノ粒子の周りにあるために細孔がつぶされ、触媒活性も低いと推定された。 このように均一な10nm程度の金属パラジウム粒子を得る方法は得られ、一定の成果は上がったが、今後、ナノ細孔性金属パラジウムを得るために、脱炭素処理をする必要があることがわかった。
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Research Products
(8 results)