2003 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素化反応による炭素材料の表面構造制御と電極特性
Project/Area Number |
15550173
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
中島 剛 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50026233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 善美 愛知工業大学, 工学部, 助教授 (80278225)
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Keywords | 表面フッ素化 / 炭素負極 / 石油コークス / リチウムイオン電池 / 表面修飾 |
Research Abstract |
石油コークスおよびこの石油コークスを1860℃、2300℃、2800℃で熱処理して黒鉛化したものを150℃、200℃、300℃で3x10^4Paのフッ素ガスを用いて2分間した。フッ素化石油コークスのフッ素含有量は未処理物を除いて0.3〜0.6at%と小さく、また、XPSで求めた表面フッ素は高温で黒鉛化したものほどフッ素濃度が小さい。Fls電子の結合エネルギーは689-687eVで、C-F結合は共有結合に近い。また、フッ素化により表面酸素が減少した。BET表面積は未処理石油コークスを除いて、フッ素化によりほとんど変らないかまたは幾分増加した。黒鉛化した石油コークスでは表面積増加の傾向がみられた。全細孔容積も同様の傾向を示した。LiClO_4を電解質とするエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート中における電位走査法による実験では1860℃熱処理物が最も溶媒の還元分解が少なく、熱処理温度が高くなるにつれて溶媒分解の電流が大きくなった。これは熱処理による石油コークスの黒鉛化過程で表面酸素が除去され、同時に炭素-炭素結合の生成による端面(エッジ面)の閉塞が起こるためと考えられる。すなわち、1860℃熱処理物のように表面が幾分乱れた構造を持っ炭素材料の方が、溶媒和したリチウムイオンが端面に収容されやすく、溶媒の還元による表面被膜の生成が容易であると考えることができる。これは定電流充放電による結果ともよく一致した。初期クーロン効率は1860℃熱処理物石油コークスで最も高く90%であったが2300℃、2800℃熱処理物ではそれぞれ72%、65%であった。表面フッ素化の効果はとくに300℃でフッ素化した試料で顕著に現れた。電流密度60mA/g、150mA/gにおける2300℃熱処理石油コークスの初期クーロン効率は84.1、83.3%、2800℃熱処理物の場合は83.6、79.5%に上昇した。これはフッ素化反応によって石油コークス端面の閉塞構造が破壊され、溶媒分解による被膜生成が容易になったためと考えられる。
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Research Products
(1 results)