2004 Fiscal Year Annual Research Report
光プローブ法によるシンジオタクチックポリスチレンの固体・ゲルのミクロ構造解明
Project/Area Number |
15550183
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
板垣 秀幸 静岡大学, 教育学部, 教授 (10159824)
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Keywords | 包接化合物 / 蛍光 / 偏光解消 / 結晶 / 非晶 / ゲル / ポリマー溶媒分子化合物 / 刻印現象 |
Research Abstract |
本研究は,4種類の結晶型をもつシンジオタクチックポリスチレン(SPS)の結晶フィルムやゲル状態におけるSPS鎖について光プローブ法でアプローチし,そのミクロ環境を明らかにし,さらに有害有機分子を除去させるために有効なδ型結晶フィルム作製方法を確定するのが目的である.以下のプロジェクトを平行して進め,成果を上げた. 1.分子サイズの異なるナフタレン(NP)やメチルナフタレンなどの誘導体をクロロホルムゲルに一定量加えてSPS濃度を変化させ,偏光解消測定からこれらの分子が動けるような自由体積があるかどうかを検証した結果,(1)SPS鎖間に1,5-ジメチルナフタレンの分子サイズ程度の自由空間が存在し,(2)ポリマー・溶媒分子化合物が存在することを明確にした.さらに,狭義の物理ゲルの定義から外れるtrans-デカリン溶液の場合,ゲル状にはなるがNPでさえ,SPS鎖間には挿入できる自由体積がなく,結果的に,溶媒分子の分子サイズ自体がゲル化の有無に大きく関係していることが確認された. 2.サレルノ大のGuerraグループと共同して,NPをドープしたSPS固体サンプルの構造解析と蛍光偏光解消法による自由体積情報を組み合わせてδ結晶フィルムの包接挙動を明らかにした.δ型結晶中ではNPの平面環がSPS鎖にほぼ垂直に存在していることをFTIRやモデル計算との比較で明らかにした.さらにδ型結晶がフィルムに対して一定方向に配向しているフィルムにおいて,フィルム全体に対してNPが一定方向に配向している様子を,偏光蛍光のフィルムのセット角度依存性から明らかにした. 3.SPSのクロロホルムゲルを長時間蛍光測定していると照射光ビームの形に刻印されるという不思議な光物性が観察された.この刻印はゲルの加熱で消滅する.条件変化を詳細に調べることでSPSのフェニル基の光吸収が原因であることを明らかにした.
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