2003 Fiscal Year Annual Research Report
窒化白金薄膜表面の実現および気体分子との反応に関する研究
Project/Area Number |
15560017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 益明 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (40251459)
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Keywords | 白金 / 一酸化窒素 / 窒化物 / 走査トンネル顕微鏡法 / 刺激脱離 / 熱脱離 |
Research Abstract |
本研究の目的は、触媒機能を持つ白金(Pt)の表面に吸着させた一酸化窒素(NO)を、電子や紫外線の照射により解離させ、還元することにより、通常の条件では作成の困難な窒化白金薄膜の作成を目指すことである。そのためにまず、Pt(111)表面上でのNOの吸着および電子や紫外線による脱離・解離機構に関する研究を行った。 Pt(111)表面上において、NOは吸着量の変化により、3つの吸着位置(3配位のfccホローサイト、1配位のアトップサイト、3配位のhcpホローサイト)を順番に占有する。それぞれのサイトへの吸着エネルギーを昇温脱離法(TDS)の脱離ピークから見積り、さらにNOの同位体である^<14>NOと^<15>NOを利用することによって、異なる吸着位置に吸着した分子間の相互作用に関する研究を行った。また、走査トンネル顕微鏡法(STM)を用いて吸着構造を観察し、探針からの電子照射によるNOの脱離及び解離を試みた。 これらの実験結果から、同じ3配位の吸着位置にもかかわらず、fccホローサイトに比べ、hcpホローサイトへの吸着エネルギーが非常に小さいことがわかった。ただし、hcpホローサイトのNOによる占有の有無は、より安定なfccホローサイトとアトップサイトに吸着したNO分子の移動を支配していることを示唆する結果が得られ、hcpホローサイトに吸着した分子を制御することにより、他の吸着サイトに吸着したNOの反応を制御することの可能性を示した。また、探針から照射させる電子のエネルギーを変化させることにより、特定の位置に吸着したNO分子のみを反応させることが可能であることを示した。 さらに、次年度において紫外線を用いた脱離及び解離の実験を行うために、既存のSTM装置に紫外光源を取付けるなどの実験装置の整備を行った。
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