2003 Fiscal Year Annual Research Report
固体中に生起する衝撃波現象に関する理論およびシミュレーションとその工学的応用
Project/Area Number |
15560042
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
杉山 勝 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20110257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
礒部 雅晴 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80359760)
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Keywords | 衝撃波現象 / 固体の熱・力学物性 / 非線型・非平衡現象 / 融解現象 / 連続体力学 / 熱・統計力学 / 分子動力学法 / 衝撃波工学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、融点に至るまでの広い温度領域にわたる固体中の衝撃波現象を、数理解析およびシミュレーションの方法を用いて、その工学的応用を視野に入れつつ包括的に研究しようとするものである。 平成15年度は本研究計画の初年度であり、研究の準備作業をすると同時に以下に述べる2項目に関して研究を行い、これらの研究成果の一部を、学会報告および学術論文として公表した。これらの研究は、16年度以降の研究においてさらに発展的に継承される。 (1)非平衡統計力学に基づく基礎方程式を、主としてシミュレーションの方法を用いて解析することにより、波動伝播に伴う力学的および熱的な挙動を原子論的な観点から解明すること: ・衝撃波現象の系統的計算機シミュレーションの遂行のため、計算の精度並びに効率を重視したプログラムコードを開発し、さらに予備的な解析を行った。具体的には、非平衡分子動力学法で、Holianにより提案された衝撃波を発生させる手法を採用しシミュレーションを行った。解析は特に、圧縮速度と衝撃波の伝播速度に着目しその関係を求めた。本年度で行ったこのような準備的研究を基に、来年度以降に本格的シミュレーション研究を行う予定である。 ・衝撃波を含む非線型波動研究のためには、それらの基準となる線型波動を前もって詳しく研究しておく必要がある。したがって、熱振動を考慮に入れた新しいモデルによりこの解析を行った。すなわち、非調和結晶格子に対するミクロおよびマクロレベルの二種類の方程式系を採用してこれを行った。その結果、線型波動の伝播速度、振幅比およびそれらの温度依存性を明確にした。特に、融点近傍での特異な挙動を発見した。 ・粉体系を拡張した2次元系における自己組織的に生ずる衝撃波についても、詳細なシミュレーションを行った。この現象は化学反応系で起こる衝撃波(デトネーション波)で見られる現象と酷似している。 (2)基礎方程式の連続体近似に基づき、衝撃波が形成される過程について解析を行うこと: 弱不連続波(加速度波とも言われる)について、解析的研究を行った。この波動を研究することにより、どのような力学的あるいは熱力学的な過程を経て、不連続面を伴う衝撃波が形成されてくるかという情報を得ることができる。具体的には、加速度波の伝播速度振幅比、振幅比の時間発展などの温度依存性を明確にした。特に、融点近傍での特異な挙動を見出した。さらに、固体中の衝撃波形成過程を明らかにする目的で、衝撃波形成時間および衝撃波形成距離を、種々の金属中を伝播する任意の波面をもつ加速度波に対して、導出した。特に、平面加速度波と球面加速度波について立ち入って考察した。この研究は本研究課題の海外共同研究者であるイタリア・メッシーナ大学の研究グループとの共同研究である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] M.Sugiyama, K.Goto: "Statistical-Thermodynamic Study of Nonequilibrium Phenomena in Three-Dimensional Anhamonic Crystal Lattices : I.Microscopic Basic Equations"Journal of the Physical Society of Japan. 72/3. 545-550 (2003)
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[Publications] M.Sugiyama: "Statistical-Thermodynamic Study of Nonequilibrium Phenomena in Three-Dimensional Anhamonic Crystal Lattices : II.Continuum Approximation of the Basic Equations"Journal of the Physical Society of Japan. 72/8. 1989-1994 (2003)
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[Publications] M.Sugiyama, K.Goto, K.Takada, G.Valenti, C.Curr: "Statistical-Thermodynamic Study of Nonequilibrium Phenomena in Three-Dimensional Anharmonic Crystal Lattices : III.Linear Waves"Journal of the Physical Society of Japan. 72/12. 3132-3141 (2003)
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[Publications] G.Valenti, C.Curr, M.Sugiyama: "Acceleration waves analyzed by a new continuum model of solids incorporating microscopic thermal vibrations"Continuum Mechanics and Thermodynamics. 16/1-2. 185-198 (2004)
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[Publications] M.Sugiyania: "A New Contiuuni Model of Solids Incorporating Microscopic Thermal Vibration and Its Application to Wave Propagation Phenomena"Proceedings in WASCOM03 (World Scientific). (in press). (2004)
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[Publications] G.Valenti, C.Curr, M.Sugiyama: "Wave Features for a New Continuum Model of Isotropic Solids"Proceedings in WASCOM03 (World Scientific). (in press). (2004)
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[Publications] M.Isobe: "Velocity Statistics in Two-Dimensional Granular Turbulence"Physical Review E. 68/4. 040301(R) (2003)
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[Publications] M.Isobe: "Molecular Dynamics Study on a Self-organized Shock Wave in an Inelastic Hard Disk System"Proceedings in The 3^<rd> Symposium on Slow Dynamics in Complex Systems (AIP Confenence Proceedings). (in press). (2004)