2004 Fiscal Year Annual Research Report
微細組織化された熱電変換素子の創製と熱電性能の実験的検証
Project/Area Number |
15560050
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
岩崎 秀夫 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (70168558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小矢野 幹夫 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (60195873)
内藤 智之 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (40311683)
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Keywords | 熱電変換素子 / 熱電性能指数 / ハーマン法 / 非平衡熱電物性 / 電子温度 / 格子温度 |
Research Abstract |
典型的な熱電現象であるペルチエ効果においては素子に直流電流を流した際、素子と電極の界面で発熱、吸熱が電子系で起こる。この電子系で発生したペルチエ熱が電子-格子相互作用を通して格子系へ伝えられる。また電流印加の間中ペルチエ熱は常に発生し続けることになる。このようなことから、継続的な電流の印加によって達成される定常状態は、本質的に非平衡状態を生じることが可能であることが分かる。この現象は、電子温度と格子温度の不一致という形で発現すると期待される。本研究で開発したハーマン法による装置は、このような現象の有無、或いはもし実際に起こる場合、どの程度のものかを定量的に調べることが可能である。本年度は、ハーマン法による評価装置を改良し、電子温度と格子温度を独立にかつ同時に測定できる手法の開発を行った。この改良された装置を用い、非平衡熱電現象の発現の有無、定量的な振る舞いを重点的に調べ、電子-格子間の非平衡定常状態の発現を実験的に明らかにすることが出来た。電子系と格子系の非平衡な定常状態の存在を実験的に観測した例は今まで皆無であって、基礎物理学的な観点からも興味深いと考えられ、本研究の大きな成果としてあげることが出来る。このような現象は、ミクロな領域で特に顕著に現れると期待され、また応用の観点から見ても熱電材料の高性能化にも寄与できる可能性を秘めている。本研究で対象となる微細領域にある熱電素子への展開が期待される。
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Research Products
(3 results)