2003 Fiscal Year Annual Research Report
交通流の制御を含む数理的研究とシミュレーションデータベースシステム
Project/Area Number |
15560051
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉山 雄規 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (20196778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
只木 進一 佐賀大学, 学術情報センター, 教授 (00202169)
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Keywords | 交通流 / 数理模型 / ITS / 相転移 / 渋滞発生 / 散逸的粒子流 / シミュレーション / 非平衡系 |
Research Abstract |
本研究の目的は、交通流を多体相互作用系の物理的協同現象と捉え、その数理模型を基礎としたシミュレータによる数値実験と実測データとのオンライン照合システムを構築し、渋滞発生などの交通流現象の解析を行うと同時にその制御に対する指針を与えることである。 この目的で、道路公団より得た大量のデータを集約し、交通流の現象解析を体系的に行うための本格的なオンラインデータベースの構築を進めた。それにより、渋滞の生成消滅など時系列的な交通流の動的性質や渋滞クラスタの全体構造の動的振る舞いの解析をおこなった。また、OV模型を基礎にして渋滞発生に至る不安定性を抑制するために、前前方や後方参照による交通流制御の効果を理論的に、擾乱の減衰やエネルギー損失の抑制を定量的に調べ、その効果の定性的違いを明らかにした。 さらに、2車線高速道路において見出された同調現象について、OV模型を基礎にしてボトルネックのシミュレーションにより周期系では不安定な解が準安定に発現することにより説明可能なことを示した。また、2つの相関した散逸系における特徴的現象として説明することを試みた。この成果は複雑系科学の論文集に採択された。 OV模型を基礎にして、渋滞発生に至る不安定性を抑制する交通流制御の理論を与え、擾乱の減衰やエネルギー損失の抑制を定量的に調べた論文を発表し、車両挙動の制御ITS (Intelligent Transport System)に理論的指針を与える基本的性質として示された。 交通流の基礎理論や社会的粒子集団の流動現象の基礎にある、集団の効果による揺らぎの増幅による状態の不安定化が渋滞状態に至ることを示す日的で、円形サーキット上の車両走行実験を行い渋滞形成を実現した。この実験は世界初であり、結果は2003年の第5回Traffic and Granular Flow(交通流と粉体流)'03国際会議で報告し、渋滞形成にボトルネックは本質ではない例証として、大きな反響を得ている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Y.Sugiyama, A.Nakayama: "Understanding "Synchronized Flow" by Optimal Velocity Model"Modeling of Complex Systems. 111-114 (2003)
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[Publications] A.Nakayama, K.Hasebe, Y.Sugiyama: "Optimal Velocity Model and its Applications -from ITS to Pedestrians"Proceedings of International Workshop of 'Traffic and Granular Flow '01'. 127-140 (2003)
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[Publications] Y.Sugiyama, A.Nakayama: "Modeling, simulation and observations for freeway traffic and pedestrians"Proceedings of International Conference on 'Computational Physics of Transport and Interface Dynamics'. 406-421 (2003)
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[Publications] S.Yukawa, M.Kikuchi, A.Nakayama, K.Nishinari, Y.Sugiyama, et.: "Observational Aspects of Japanese Highway Traffic"Proceedings of International Workshop of 'Traffic and Granular Flow '01'. 243-256 (2003)
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[Publications] K.Hasebe, A.Nakayama, Y.Sugiyama: "Dynamical Model of a cooperative driving system for freeway traffic"Physical Review E. 68. 026102-1-026102-6 (2003)
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[Publications] 杉山 雄規: "交通流の物理"「ながれ」日本流体力学会誌:特集 交通流. 22巻2号. 94-107 (2003)
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[Publications] M.Fukui, Y.Sugiyama, M.Schreckenberg, D.E.Wolf (Eds): "Traffic and Granular Flow '01"Springer-Verlag Berlin. 580 (2003)