2004 Fiscal Year Annual Research Report
アサガオなどの合弁花の折畳み・展開様式と開花機構に関する生物規範工学的研究
Project/Area Number |
15560057
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 秀敏 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (10205479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臺丸谷 政志 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40002018)
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Keywords | 折畳み・展開構造 / ペチュニア / 合弁花 / 花の展開観察 / 花弁数 / 引張試験 / 花の展開モデル |
Research Abstract |
本年度は、合弁花であるペチュニアの花に着目して研究を行った。 まず最初に、ペチュニアの花の折畳み様式の把握のために、蕾を切開して蕾内の花弁の折畳み状況を観察した。また、展開時の花を2台のCCDカメラを用いてビデオ撮影し、画像処理ソフトにより展開時間と花弁展開高さとの関係を明らかにした。さらに、花の3つの部位から短冊形の微小試験片を切り出し、顕微鏡下で伸びを観察しながら引張負荷を与え、花弁軸と花弁の引張剛性を評価した。さらに、ペーパーモデルによる花弁の折畳み・展開シミュレーションを実施し、展開時の展開停滞時間に関する考察を行った。得られた主な成果は、以下の通りである。 1)ペチュニアの花は、アサガオによく似た漏斗状の花形をしているが、花形に上下の区別があり、5枚の花弁から構成されている。花弁それぞれは、花弁中央に位置する花弁軸に沿って2つ折りに折畳まれ、花形上部に位置する3つの花弁を、下部の2つの花弁が両側から挟み込む独特の折畳み様式をしている。 2)1枚の花弁は、花弁軸・花弁部の2つの構成部位からなり、引張試験結果と複合則を用いた考察から、花弁部のヤング率は約2.2MPa、花弁軸部のヤング率は11.7MPaとなり、花弁軸は花弁部の約5倍の剛性を持ち、花弁全体を支持する役割を担っていることがわかった。 3)花は、約2日で開花し、漏斗状の花形となるが、展開開始から16〜19時間はゆっくり展開(展開率13%まで)し、その後それまでの6〜8倍の速さで3〜4時間展開(展開率40%まで)する。ここで、12〜14時間の停滞時問があり、その後、停滞直前の速さで最後まで展開する。 4)花弁のペーパーモデルの展開シミュレーションから、展開途中の停滞時間は、花弁にひずみエネルギーが蓄積される時間であり、この蓄積されたひずみエネルギーを利用して停滞時間後の展開が行われることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)