2004 Fiscal Year Annual Research Report
内部疲労き裂発生・進展機構の解明と超長寿命疲労信頼性設計法の確立
Project/Area Number |
15560065
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
塩澤 和章 富山大学, 事務局・理事, 副学長 (90019216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 精一 富山大学, 工学部, 助教授 (00218174)
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Keywords | 超長寿命疲労 / 内部き裂発生 / き裂進展 / コンピュータ・シミュレーション / 介在物 / 炭化物 / 高強度鋼 / 応力比 |
Research Abstract |
高強度鋼の回転曲げ疲労試験において得られる二重S-N曲線(すなわち高応力振幅・短寿命域の表面き裂発生型破壊のS-N曲線と低応力振幅・長寿命域の内部き裂発生型破壊のS-N曲線が共存)は超長寿命域の疲労信頼性設計の確立に対して重要な研究課題である.とりわけ,長寿命領域の非金属介在物を起点とする内部破壊において,介在物近傍に形成される凹凸の大きい領域(研究者らはGBF ; Granular Bright Facetと命名)は疲労破壊を支配する重要な因子であることを指摘し,この形成機構として「微細炭化物の離散はく離説」を提案した.これは疲労過程中に介在物周囲の微細炭化物がはく離して微小き裂を形成し,その後これらの微小き裂が進展・合体してGBF領域を形成するとするものである.この説はSEM,走査型プローブ顕微鏡(SPM)による破面の詳細観察,EPMAによる炭素濃度分布およびトポグラフィー破面情報を基にしたコンピュータシミュレーション(FRASTA法)による検討の結果得られたものである.本研究は一連の研究の継続として実施したものであり,以下の研究成果を得た. (1)SCM435鋼およびSKD61鋼の回転曲げ疲労試験から得られた内部き裂発生型破壊の破面解析を行い,炭素含有量0.35%程度の低合金鋼においても,SUJ2(C:1%)およびSKH51(C:0.6%)と同様に「微細炭化物の離散はく離説」が成立つことが明らかとなった. (2)GBF領域の粗さ(凹凸)は炭化物の大きさに依存し,炭化物の大きい材料ほど粗さは大きくなる.また,凹凸の間隔は炭化物の分布密度に依存し,密度が高い程凹凸の間隔は狭くなる. (3)油圧サーボ式引張圧縮軸荷重疲労試験機を用いて,高速度工具鋼SKH51の疲労試験を室温・大気中で実施し,応力比の影響を検討した.その結果,表面き裂発生型破壊から内部き裂発生型破壊への遷移寿命は応力比が小さい程早期に発生し,GBF領域の形成は応力比に依存せず100万回以上の長寿命疲労破壊の破面に観察された. (4)上記破面のGBF領域の粗さは応力比に依存し,応力比が大きいほど粗さは小さくなることが明らかとなった.これは介在物周囲に形成される繰返し塑性域寸法に依存することが考察され,詳細な検討を実施中である. (5)簡便な引張圧縮軸荷重疲労試験を実施するために,4連式軸荷重疲労試験機を開発・導入して装置の基本性能確認のための予備実験を行い,軸受鋼SUJ2の実験を開始した.研究を継続して超長寿命疲労挙動に及ぼす応力比の影響を明らかにする予定である.
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Research Products
(10 results)