2003 Fiscal Year Annual Research Report
機能創出型積層薄膜被覆材料の創成とその微視構造を考慮した健全性評価手法の確立
Project/Area Number |
15560070
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
星出 敏彦 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (80135623)
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Keywords | 機能性材料 / 薄膜積層材料 / 機械的特性 / スパッタリング / 健全性評価 / 微視構造 / 表面性状 / セラミックス |
Research Abstract |
本年度は,まず健全性評価の基礎データとなる機械的特性を実験的に明らかにした.得られた主な結果は以下のとおりである. (1)高周波マグネトロンスパッタリング装置を用い,機能創出型積層薄膜被覆材料を創成した.本年度は,基板として電子基板用ガラスを,被覆材料としてのターゲット材としてセラミックス系のSiC/Al_2O_3をそれぞれ採用して,異なる成膜条件のもとで二層薄膜被覆材料を創成した. (2)形成したSiC/Al_2O_3二層被膜の表面について,走査型レーザー顕微鏡により,その表面粗さおよび表面気孔率を計測した.その結果,スパッタリング時間が長くなるほど表面粗さが粗くなる傾向が認められた.一方,気孔率は成膜条件にほとんど依存せず,設定した成膜条件下では極めて低い値となり,密な被膜が形成されることがわかった. (3)創成したSiC/Al_2O_3二層被覆材料の強度特性を実験的に調べた.まず,ダイナミック超微小硬度計を用いて,被膜の硬さを計測した.いずれの成膜条件下の被膜においても膜厚が厚いほど硬さ分布は高硬度側に移行することがわかった.さらに,成膜試料から角材試験片を切り出して曲げ試験を行った.その際,成膜状態に関する情報が得られるように,薄膜積層面を引張応力側に設定し,そのときの曲げ負荷時の強度特性を明らかにした.すなわち,いずれの被覆材についてもガラス基板単体の強度分布と比較すると,低強度側の強度特性が改善されることがわかった.ただし,強度特性は成膜条件にほとんど依存しなかった.また,破断面形態の観察により,低強度側の試験片では2分するが,高強度側の試験片では3個以上に分断することを明らかにした.この破断形態と強度との関係については破断面の形成エネルギーの相違の観点から説明した.なお,SiC/Al_2O_3二層被覆ではSiC単独被覆の際にみられた被膜のはく離現象は現れないことを確認した.
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Research Products
(1 results)