2003 Fiscal Year Annual Research Report
表面改質と組識調整による疲労特性及び応力腐食割れ特性の改善
Project/Area Number |
15560077
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
皮籠石 紀雄 鹿児島大学, 工学部, 教授 (00117491)
|
Keywords | マルエージング鋼 / 疲労 / ラジカル窒化 / ショットピーニング / 逆変態オーステナイト / 湿度 / 水素ぜい化割れ |
Research Abstract |
高強度材は切欠き感度が高いだけでなく環境中の水分の影響も大きく受ける。マルエージング鋼は実用鋼の中でバルク材としては最も高強度である。しかし水素のトラップサイトが多いため水素脆化に対し高い抵抗を有すると考えられるが、疲労強度の点からそのことを調べた研究はみられない。また、表面改質を行えば、長寿命域になると破壊は内部の介在物を起点に起こり、環境の影響は受けにくくなるが、一方窒化による表面改質の場合、処理環境に含まれる水素が介在物からのき裂発生に悪影響を及ぼすことが考えられる。本研究では先ず、マルエージング鋼にラジカル窒化を行い、疲労強度に及ぼす窒化の影響、とくに窒化時間の影響を表面破壊域と内部破壊域に分けて検討した。その結果、窒化により表面硬化と圧縮残留応力が生成するため疲労強度は上昇するが、窒化時間の影響は複雑である。すなわち、高応力下で生じる表面破壊の場合、窒化時間がある値を超えると表面の脆化により疲労強度は低くなる。一方内部破壊が生じる長寿命域では、窒化時間の影響は非常に小さい。したがって、広い範囲で疲労強度を改善する最適な窒化時間がある。次に、表面改質法としてショットピーニングを行い、疲労強度の硬さ依存性を、上記と同様に内部破壊域と表面破壊域に分けて検討した。表面破壊の場合、破面に粒界割れが観察され湿度の影響が認められたが、内部破壊の場合この影響はみられなかった。このことが関係して、疲労強度と硬さの比例関係は、表面破壊に対する疲労強度より内部破壊に対する疲労強度の方が高硬さまで成立した。これらの成果は現在投稿準備中である。
|